経営戦略、ビジネス、ITを結びつけ、企業の未来を設計する。その担い手を「エンタープライズアーキテクト」と呼ぶ。未来設計を成功させるための10カ条を紹介する。

 エンタープライズアーキテクチャー(EA)の担い手をエンタープライズアーキテクトと呼ぶ。EA方法論を含む各種の標準を作成・認証する非営利団体The Open Groupの藤枝純教日本代表は10年以上前から、「エンタープライズアーキテクトが成功するための十箇条」を提言し、更新してきた。このほど「ビジネスケイパビリティ・モデリングガイダンス」という考え方で最新の10カ条がまとめられたので解説する。

目的は「ビジネス能力」の設計

1.ビジネスケイパビリティを最適化せよ

 ケイパビリティとは何かをやってのける能力を指す。例えば顧客との応対をうまくやる「カスタマーコンタクト」、市場の状態を把握し、それに合った製品・サービスを世に問う「マーケティング」、これらはビジネスケイパビリティである。ビジネスの規模や内容に左右されるが通常、1社に10件前後の主要なケイパビリティがある。

 EAとは「将来持ちたいケイパビリティと現状とを比べてギャップを見いだし、それを埋める計画を立て、全体最適のケイパビリティポートフォリオを作っていくこと」(藤枝氏)。ケイパビリティは人とスキル、組織、業務プロセス、本業を担う技術、知的財産、そして情報システムを組み合わせた、いわゆる「見えない資産」である。情報システムだけを設計、用意しても資産とは言えない。

 ケイパビリティを設計するアーキテクトには次の姿勢が求められる。

2.顧客の痛点から価値を考えよ

 「顧客を最優先し、顧客の痛み(ペインポイント)を見つけ、解決策を考えてみる。理想のケイパビリティを設計しよう、と言うだけではどこから手を付けてよいか迷ってしまう」(藤枝氏)。

 現場感覚を研ぎ澄まし、顧客が気付いていない痛みまで見つけるようにする。見つけた痛みを取り除くために、自社のケイパビリティを見直す。言い換えればEAとは、顧客を中心に据えた経営に取り組み、既存の業務プロセスを総点検し、作り直すことである。

3.オープンイノベーションを進めよ

 顧客の痛点に気付くために内外の顧客、潜在顧客はもちろん、場合によっては「未来の顧客(子ども)」の声を聞く。未来について考えている研究者、科学者、識者も交え、オープンに議論する。自社が今参入していない市場の声や、自社のやり方への異論や疑問を取り入れてこそ、イノベーションの可能性が高まる。どれほど優秀な人をEAチームに集めたとしても社内の人材だけでは良い考えは出てこない。

 以上の姿勢で将来のビジネスケイパビリティを考え、設計していく。ただし、ケイパビリティが経営戦略に合致しており、なおかつ実現可能なものになっていなければならない。

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