今も昔も、頼りになる情報システムが求められる。そのカギが設計であることも変わらない。日本発の標準手法を「七つ道具」に拡張する取り組みが進む。

 業種業態を問わず、提供する製品・サービスの品質と、それらを支える業務の品質とを共に高く保ち、顧客から信頼を獲得することは極めて重要であり、経営者の関心も高い。それにもかかわらず、日本企業の品質に疑問符が付く事態がしばしば公表されている。「動かないコンピュータ」は依然として発生しており、情報システム責任者の品質を巡る悩みは深い。

永遠の難問、設計品質向上に挑む

 難問へ対処するカギは設計にある。「情報システム稼働後のエラーのうち7割近くが設計の時に織り込まれていたというデータがある」とグローバル標準の作成と認証を手掛ける非営利団体The Open Groupの藤枝純教日本代表は指摘する。

 設計時にエラーを見つけ出せれば稼働後のエラーの発生を減らせる。テスト段階でエラーに気付き、設計まで戻ってやり直すことも減る。当然、開発コストを抑えられる。設計品質を高める様々な試みがなされてきたが、藤枝氏は世界の組織や人が連携し、再利用できる成果物を作り、それを公開するオープンアプローチを勧める。

 すなわち「関係者と設計者がオープンに議論し、なぜその設計にするのかという問いを繰り返してロジックを見いだし、正しい設計になっているかどうかを検証、設計の動機と根拠を記録に残していく」(藤枝氏)。

 そのためのフレームワークとしてThe Open Groupは「Dependability through Assuredness Standard(略称O-DA、安全・高信頼性検証国際標準)」を2013年7月に発表済み(日経コンピュータ2013年11月28日号『「頼れるシステム」への挑戦、設計・検証・説明の術を持て』を参照)。製品やサービス、情報システムなどが「頼りがいがあること(Dependability)」を保証(Assure)するために、開発者や提供者が実施すべき活動を定めている。

 O-DAは関係者と設計者が議論して決めた信頼性確保の対策とその根拠を「保証ケース」と呼ぶ文書に残し結果責任(Accountability)を担保する。設計や保証ケースの記述はオープンな標準に沿って進める。そうすれば第三者に信頼性を検証してもらえるし、保証ケースに盛り込んだ信頼性確保の知恵を他の組織でも再利用できる。

 O-DAはThe Open Groupが公開しているエンタープライズアーキテクチャー(EA)設計手法TOGAFとモデリングツールArchimateを組み合わせて使う。TOGAF自体がなぜを繰り返すオープンな議論プロセスを採用しており、Archimateで設計情報をモデルにして可視化すれば議論がやりやすくなる。なぜそう設計したのかという動機もArchimateは記述できる。

 O-DAは安全性が問われるシステムのために開発された。現在、一般の情報システムの品質確保に適用できるように拡張が進められている。O-DAは保証ケースの記述にあたり科学技術振興機構(JST)の「DEOS(Dependability Engineering for Open Systems)プロジェクト」の成果を利用しており、日本発のオープン標準になっていた。

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