日本企業が抱える課題は5つ挙げられる。生産性向上、攻めの経営、世界展開、品質担保、人材確保である。課題の達成にはオープンアプローチが欠かせない。

 「日本企業が直面している課題について何年も前から議論されているが、オープンアプローチで達成していこうとの動きはまだまだではないか」

 グローバル情報社会研究所(ReGIS)の藤枝純教社長はこう指摘する。オープンアプローチとは前号の本欄で定義したように「世界の組織や人が連携し、再利用できる成果物を作り、それを公開すること」を指す。このアプローチを推進するために、グローバル標準の作成と認証を手掛ける非営利団体The Open Groupの日本代表を藤枝氏は兼務している。

万人に関わる5つの課題

 今回は生産性の向上、攻めの経営、グローバル展開、設計時の品質担保、人材の確保の5つについてオープンアプローチがどのように寄与するかを、The Open Groupの活動を紹介しつつ見てみたい。5つは経営者にとってもIT(情報技術)専門家にとっても重要であり、課題達成のために両者が対話を重ねる必要が本来ある。

生産性の向上:日本企業の生産性、とりわけサービス産業の生産性向上は以前から課題として挙がっており、最近は働き方改革と絡めて語られることが多い。藤枝氏は「業務の最適化や標準化、不要な作業の打ち切りといったメリハリの利いた施策が欠かせない。それをせず、単に一律の時短を強制するような働き方改革は愚の骨頂」と言う。

 業務の最適化や標準化に当たっては、業務の各場面で必要になる情報を担当者に届ける。業務ごとに縦割りの情報システムを使っている場合、情報をやり取りできるように各システムをつなぐか、新たな業務の流れに合った情報システムを用意する。

 The Open Groupは産業別の業務標準化活動を支援している。その一例であるOpen Process Automation Forumは石油や化学などのプロセス産業が集まり、生産ラインの制御システムの標準化を進めている(2017年5月11日号の本欄『本業の調達コストを劇的に下げるオープン標準を今こそ採用しよう』参照)。

攻めの経営:生産性は生まれた価値をその創出に投じた時間や人数で割ったものであり、効率を上げる一方で分母となる売り上げや利益を増やす、いわゆる「攻めの経営」が求められる。新規事業を始めるに当たっては、それを支える情報システムを「オープンソースソフトウエアやパブリッククラウドなど検証済みのビルディングブロックをうまく組み合わせ、素早く用意する」(藤枝氏)。

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