「2倍にできないか」と考え、心躍る目的を見いだそう。倍にする対象は売上高でも営業利益率でも生産性でも何でもよい。組織だけではなく個人も同じ発想が求められる。

 「経営者や政治家はもちろん、何らかの活動をしている人は全員、言われたことをそのままするだけではなく、2倍の生産性を目標にして実行しよう」。企業の活性化を支援する一般社団法人アドバンスト・ビジネス創造協会(ABC協会)の細川泰秀副会長は「2倍思考」を勧める。同氏は製造業で情報システムの責任者を、IT企業で役員を、それぞれ務めた経験を持つ。

 2倍にする対象は生産性のほか、売上高、営業利益の額または率など何であってもよい。2倍を目指そうとすると新たなやり方を考えざるを得なくなる。「思い切った案を出せ」あるいは「抜本的な対策を考えよ」と命じる組織の長に回答を出せる。数割増し程度を目指すとどうしても現状の延長線上にある案ばかり考えてしまいがちになる。

 本連載の第129回で「何かに取り組む際、心躍る目的を考え、それに向かっていこうと思える目標を立てる必要がある」と述べた。2倍という目標を先に立てれば、わくわくする目的を見いだしやすくなるのではないか。

 自分の近くのことでよいから価値を2倍にできないかと考え、思いついた何かを目的に掲げる。目的は組織や自分のためだが同時に日本や世界のためにもなるとより良い。「面白いからやる。日本や世界のためになるからやる。こういう目的がないと生きがいが出てこない」(細川副会長)。

社会保障と財政再建を考える

 2倍とはあくまでも目安であってそれ自体にこだわる必要はない。3倍でも4倍でもいいが、あまり増やすとさすがに現実味が薄れる。ちなみに細川副会長は日本の問題である社会保障と財政再建について次のように検討し、2倍思考を提唱するに至った。

 2018年度の一般会計予算の歳入は98兆円だが税収は59兆円、公債(国債)で34兆円を埋めている。一方、歳出を見ると33兆円が社会保障に、23兆円が国債費(償還や利払いなど)に使われている。高齢化に伴い、社会保障費は増え続けるが2018年度見込みで883兆円にもなる国債の累積残高を増やし続けるわけにはいかない。

 国債関連の歳入から歳出を引いた11兆円を税収増で賄えれば国債残高の増加を計算上は抑えられる。税収のうち12兆円は法人税なのでこれを2倍にできればよい。そもそも日本企業と米国企業の営業利益率を比べると「日本企業はざっと2分の1」(細川副会長)という。「企業たるもの、2倍稼いで2倍税金を納め、社会保障と財政再建に貢献しよう、2倍ならできるはず」と同氏は呼び掛ける。

 企業は税金を納めるためだけに活動しているわけでは当然ないが、営業利益の額または率を2倍にできれば、研究開発や事業開発への投資を増やせ、給与を引き上げ、福利厚生を充実させやすくなる。

この先は有料会員の登録が必要です。「日経コンピュータ」定期購読者もログインしてお読みいただけます。有料会員(月額プラン)は初月無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら