悪しきレガシーシステムを刷新すべきだが経営陣の理解が得られない。こうした悩みを聞くが情報システムの話にとどめると解を見つけにくい。経営や事業の話に広げ、その中で解決していく必要がある。

 いわゆる基幹情報システムをどう発展させていくとよいのか。理想は事業の変化に追随していける柔軟な情報システムにすることだ。これらの課題や理想は昔から語られてきており現在でも全く変わらない。

 日経コンピュータ2月7日号の特集によれば「変わる社会情勢や顧客ニーズに即応するため(中略)デジタル技術を積極的に取り入れながら企業活動や製品をどんどん変えていく。そうした企業文化への変革」がデジタルトランスフォーメーションだという。

 だが今も昔も理想の実現は難しい。このため情報システム部門から次のような声が上がるがこれも以前から変わらない。

 「悪しきレガシーシステムをなんとか変えたいと考えている。だが経営陣に説明すると『投資対効果が見えない。それほど業務が変わらないのに大きな投資をする意味があるのか』と言われてしまう」

システムだけ考えても解は無い

 情報システムの投資対効果を巡る議論も昔からあったが一応の結論は出ていると筆者は考える。情報システム単体ではなく、その情報システムが支える事業の中で投資対効果を見るということだ。例えばある事業のためにシステムを開発ないし修正する場合、その事業で見込める利益の範囲内にシステムの投資額が収まればよい。

 「このシステムを作ったらいくらもうかるのか」と聞きたがる経営陣は少なくないが本来は「こういう事業をやりたい。そのためのシステムをいくらで準備してもらえないか」と言わないといけない。

 本連載の第129回で、やってみたくなる、わくわくする目的や目標を考え出すべきだと述べた。経営陣からそれが出てくればよいし、出てこなければ事業部門や情報システム部門が提案することになる。実はそういう案がなかなか出てこない、提案できないことが最大の問題であり、そこを解決しない限り、基幹システムの再整備は本来進めようがないが、目指す目標が出てきた、作れたとして話を進める。

 「こういう企業になりたい」「こんなビジネスを展開したい」という目的や目標を立てられたとしてもすぐそこに到達できるわけではない。段階を踏んで進んでいくしかなく、そのための計画が必要になる。

 基幹システムについても同様で、目指す経営や事業を支える将来のシステム像を描き、現状の基幹システムからそこへどのように移行させていくか、計画を立てる。

 英語の用語を持ち出すと、前述の経営ないし事業の計画と情報システムの計画の両方を盛り込んだものが本来のエンタープライズアーキテクチャーである。わざわざ片仮名の用語を使わなくてもよいが、経営、事業、システムの将来計画を立て、その中で基幹システムを再整備する投資対効果を検討しない限り、冒頭で紹介した情報システム部門の悩みは解消しない。

 それをせず、現行の基幹システムが経営や事業の足かせになっている悪しきレガシーだから捨て去り、再構築しようといった、現状を否定する言い方で経営陣に提案してもなかなか受け入れられない。これも本連載の第129回で書いた話である。

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