ネットワーク機器にはさまざまな機能がある。初期状態のまま使うと予期せぬトラブルを招く。サーバー更新により通信断となった事例を紹介する。

 ネットワーク設計者はネットワーク機器の出荷状態を「デフォルト」という言葉で表現することがある。具体的には、機器の起動後に標準で動作する機能や初期値として決まっているパラメーター設定などを指す。

 一般にネットワーク機器をデフォルト設定のままで使うことは少ないが、ごくまれに設計者が不在の簡易ネットワークで見かけることがある。設計者が介在していても初期値への配慮不足が原因で予期せぬ通信障害を引き起こすことがある。今回はこうしたデフォルト設定にまつわるトラブル事例を紹介する。

ARPテーブルで異常が発生

 A社はネットワーク機器とサーバーの老朽化に伴い、リプレースすることにした。本社と支社のそれぞれにレイヤー3スイッチ(L3スイッチ)を新設。一部のサーバーについてはIPアドレスを変更し、同スイッチに収容変更する計画を立てた。既存のサーバーは通信先のIPアドレスの設定を変更できない制約があったため、収容変更したサーバーとはアドレス変換機能を搭載したルーター(NATルーター)経由で通信する構成とした。

図 A社のネットワーク構成
機器の老朽化に伴い、リプレースと構成変更を実施した
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 ネットワーク設計を終えて現地で接続試験をしていると、サーバー担当者から通信障害の報告を受けた。既存のレイヤー2スイッチ(L2スイッチ)配下のサーバーと、新設したL3スイッチ配下のサーバーとの間で通信ができないという。L2スイッチ配下のサーバー同士は正常に通信できており、L3スイッチの問題が疑われた。

 状況を詳しく調べると、L3スイッチのARP(Address Resolution Protocol)テーブルで異常が発生していた。ARPテーブルとはIPアドレスとMACアドレスの対応を記録したデータベースのことである。サーバー間で通信を開始した直後は正常に機能しているが、数秒後にはARPテーブルがクリアされ、通信が不能となってしまう。

アドレス変換機能を搭載したルーター
具体的にはNAT(Network Address Translation)機能を使い、以前のIPアドレスに変換して通信するようにした。
ARP
IPアドレスからMACアドレスを調べるためのプロトコル。

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