2020年度予算の概算要求が出そろった。総額は約105兆円と過去最高だ。デジタル関連の主だったものを集計すると、5344億3800万円にのぼった。目玉はマイナンバーカードの普及策や、行政手続きのデジタル化などだ。

 日経コンピュータが集計したところ、マイナンバー(個人番号)に関連する主なIT政策の要求額は合計で2101億8000万円だった。特に規模が大きいのが、総務省が要求した「マイナンバーカードの普及・利用促進」に関する予算だ。項目全体の要求額は1801億5000万円で、2019年度予算から6.9倍に膨れあがった。

表 2020年度概算要求における、マイナンバーに関係する主なIT政策の要求額
マイナンバーカード普及に向け、用途広げる/(注)100万円単位で四捨五入した。厚労省の「医療保険分野でのマイナンバーの利活用」の要求額が減少しているのは2019年度で医療保険関連システムの改修が終了するためで、この反動減を除けば増額となる
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 要求額の8割に当たる1493億円がマイナンバーカードの無料交付にかかる経費である。政府は取得率が約12%にとどまるマイナンバーカードをほぼ全国民に普及させるため、2020年度から用途を広げる意向だ。

 需要増を見越して、自治体から委託を受けてカードを発行する地方公共団体システム機構(J-LIS)は2019年6月に合計5500万枚の入札公告を出した。総務省は要求額をこうしたカード調達や交付の諸経費に充てる考えだ。

 カードの用途拡大において最大の注目点は、消費増税後の消費落ち込みを和らげるために導入するポイント制度「マイナポイント」である。マイナンバーカードを本人認証やポイント管理などに使って、店舗での購入額などの一部をポイントとして還元する。

 2020年10月からのスタートを見込み、購入額の25%程度を還元する案が出るなど、政府はマイナポイントをカード普及の切り札に位置付ける。総務省は基盤システムの開発費を要求。現時点で金額は未定で、年末の予算案策定までに改めて詰める予定だ。

 医療や戸籍でもマイナンバーカードを使う政策が始まる。厚生労働省は2020年度から医療機関でカードを健康保険証の代わりとして使えるようにする計画で、保険資格を確認するシステムの開発に145億円を要求した。

 法務省は戸籍事務をマイナンバーと連携させて効率を上げるために、同連携に関して2019年度予算の2.6倍となる99億1000万円を要求した。システム設計業務などに使うとみられる。

 内閣官房はマイナンバー制度の個人向けポータルサイト「マイナポータル」の整備などで56億2300万円を求めた。システム改修により、マイナポータルを通じて企業が従業員の社会保険の手続きを一括でできるようにする。

734億円で「IT調達一元化」を推進

 マイナンバーカード以外で要求額が多いのは、2020年度からIT投資を効率化するための「調達一元化」を始めるに当たって、内閣官房が求めた734億1000万円である。調達一元化とは省庁が握っていたIT予算をいったん内閣官房に集約し、調達内容をレビューしたり省庁を超えてシステムを共通にしたりする取り組みである。

 政府のIT予算は特別会計も含めると毎年7000億円を超える。調達一元化の対象はこのうちの約1割にとどまるが、政府は年度ごとに一元化する範囲を広げる方針だ。

 2020年度の対象システムの候補は30個ほど。代表例は各種パブリッククラウドを活用する総務省管轄の「政府共通プラットフォーム」である。人事給与関連で省庁が横断的に使う人事院管轄の「人事・給与関係業務情報システム」、マイナンバーを使った自治体との業務連携に使う総務省管轄の「情報提供ネットワークシステム」の規模も大きい。734億円はこれらシステムの刷新や新規開発などに充てる。

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