ハードウエアやソフトウエア製品の保守費の高さに頭を悩ませるユーザー企業は少なくない。対応策として「第三者保守」のサービスが広がっている。製品の保守をベンダー以外の第三者が安く請け負う。コスト半減という大きな効果を得た企業もある。4社の先行事例から第三者保守の威力を探った。

 「定常的に生じるコストを抑え、その分を前向きな投資に振り向けていく」。SGシステムの丸山信二取締役システム戦略担当は意欲を示す。SGシステムは佐川急便を中核とするSGホールディングス傘下のIT会社で、荷物追跡システムなど主要なシステムを開発・運用する。

(写真提供:SGシステム)
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 丸山取締役が特に問題視していたのは保守費だ。同社は2005年に主要システムをメインフレームからオープン系サーバーに移行した。自社データセンターでサーバーやネットワーク機器を多数運用するようになり、保守にかかる費用が負担になっていた。

 どうすれば保守費を減らせるか。同社が選んだのは「第三者保守」だ。

 ハードウエアやソフトウエアの保守は通常、製品を開発したベンダー自身か、ベンダーと提携するパートナー企業が担う。それ以外の企業、すなわち第三者が製品の保守を請け負うのが第三者保守だ。SGシステムはハードウエア製品の保守を手掛けるカーバチュア・ジャパンを選び、保守費用を従来に比べ約3割減らしたという。

図 SGシステムにおける第三者保守導入の流れ
ネットワーク機器を優先して移行
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ネットワーク機器の保守を移管

 SGシステムがカーバチュアから「ハード製品の保守を格安の料金で請け負う」との売り込みを受けたのは2017年ごろだった。丸山取締役は「当初は懐疑的だったが、まずは試してみようと考えた」と振り返る。

 対象としてネットワーク機器を選んだ。「サーバーやストレージといった機器よりも保守が容易」(丸山取締役)なためだ。ネットワーク機器は冗長構成を取っており、1台が壊れても全体の動作には影響しにくい。故障が生じる頻度も低く、「過去に保守対応が必要だったケースは10件に満たない。単純な交換や再起動など比較的簡単な作業で復旧できた」(同)。

 丸山取締役らはカーバチュアにおける保守サービスの詳細はもちろん、部品在庫の管理現場まで事前に確認した。物流事業を熟知したSGシステムから見ても「十分な管理体制を備えている」(丸山取締役)と映ったという。

 同社は2018年12月時点で、ルーターやスイッチなど百数十台のネットワーク機器の保守をカーバチュアに委託している。効果を確認できたため、対象をサーバー機器やストレージ機器に広げる検討を始めた。

 丸山取締役は「サーバー機器の保守はネットワーク機器よりも多くの点を考慮する必要がある。アプリケーションに応じて、保守のレベルは異なる」と慎重な姿勢を見せつつ、「精査が終わった機器から徐々に移管し、コスト削減効果をさらに享受したい」と期待する。同社は第三者保守で浮いたコストを原資として、手書きの配送伝票をAI(人工知能)で自動入力するシステムなど、先端的なシステムの研究開発に力を入れていく。

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