国税に関わる書類の電子的な保存方法などを定めた「電子帳簿保存法」。同法に対応することで経理作業の効率向上、紙書類の削減、コーポレート・ガバナンスの強化などにつなげる企業が増えている。電子帳簿保存法に対応したツールの使い勝手が上がっており今年7月の法改正によって業務実態に即した運用もしやすくなってきた。電子帳簿保存法対応の最前線を追った。

企業が電子帳簿保存法に対応すると、経費精算で領収書の画像を電子的な伝票として添付できる(写真提供:コンカー)
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 「慣れている従来のやり方のほうが良いという声もあったが、今は昔のやり方に戻るなど考えられない状態だ」。博報堂DYグループでコンテンツ制作やイベント事業などを手掛ける博報堂プロダクツの平田智取締役執行役員経営計画室室長はこう話す。

 同社は2018年4月から、電子帳簿保存法に対応した経費精算システムを使用している。対象ユーザーは約1800人の社員だ。欧州SAP傘下の米コンカーが提供する経費精算SaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)の「Concur Expense」を採用。外出先からスマートフォンアプリで領収書の撮影・添付を含む経費精算の申請や承認ができるようにして業務効率を高めた。

 対象社員の合計で年間およそ2000時間の経費精算作業を削減し、他の業務に振り向けられるようにした。これによって生み出される効果は金額換算で年間4300万円相当になると見積もる。IT投資は「1年もたたずに回収できる計算だ」と平田取締役は胸を張る。

 電子帳簿保存法に対応するまでは、経費精算による業務効率の低下が問題になっていた。同社は顧客や発注先との打ち合わせで外出する社員が多い。イベント開催時などには数日にわたって出張するケースも少なくない。

 ところが会計システムは博報堂DYグループ共通のもので、オフィスに設置された経理などに使う1人1台の専用パソコンから経費精算を申請・承認する必要があった。リモートアクセスでは使用できず、月末や年度末など経費を締めるタイミングになるとわざわざ出張先や客先から社員が会社に戻るケースもあったという。

 同社はコンテンツ制作やイベントといった事業内容の特性から経費精算の件数が多い。経費精算の必要項目の入力や印刷した伝票への領収書の貼り付けといった作業の効率向上が経営課題の1つだった。

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