ゲームを競技として楽しむ「eスポーツ」がブレークしつつある。プロリーグが相次ぎ発足し、数万人の観客を集める大規模イベントも。商機と見たゲーム業界に加え、サイバーエージェントやミクシィなどネット企業が相次ぎ参入。NTTグループなどIT企業も虎視眈々とチャンスを狙う。デジタル時代の新たな娯楽産業に迫る。

 「スポーツマンシップにのっとり、正々堂々と戦います」「私たちの強みはチームワーク。絶対に負けません」。2018年6月、東京・渋谷にあるイベントホールは熱気に包まれていた。ステージ上にはホリプロ、オスカープロモーション、松竹芸能など大手芸能事務所に所属する女性アイドルや歌手がずらりと並ぶ。

 彼女たちの肩書きは「eスポーツ選手」。大手芸能事務所が共同で主催する女性選手限定のリーグ戦「EQリーグ」の大会だ。選手は事務所ごとにチームを組みゲームで対戦。観客はアイドルイベントさながらに歓声を送る。選手はスマイルを封印し真剣な表情でゲームを競い合った。

Jリーグも吉本も参入

 eスポーツは個人やチームがビデオゲームあるいはスマートフォンのゲームで対戦して勝敗を競う。ファンは対戦の様子をスタジアムやテレビ、ネットの中継で観戦する。一見すると以前からあるゲーム大会と変わらない。個人ごとにゲームの最高得点を目指すことが多い既存のゲーム大会に比べ、eスポーツはチーム対抗で対戦するなど競技性を強めている点が特徴だ。

 デジタル時代の新たな娯楽産業を目指し、様々な業界がeスポーツに参入している。例えばサッカーのJリーグだ。2018年3月から5月にかけて、サッカーゲームを題材にした大会を初開催した。国際サッカー連盟(FIFA)が主催する世界大会の予選を兼ねており、一般募集した選手に加えサッカーJ1の15チームが推薦した選手が腕を競った。

 「ゲームをきっかけにリアルなサッカーに親しんだり関心を持ったりする顧客の広がりに期待している」。Jリーグの村井満チェアマン(理事長)はeスポーツ参入の狙いをこう語る。「eスポーツは性別や年齢に関係なく、誰でも楽しめる。幅広い層にサッカーへの関心を持ってもらう良い商材だ」(同)。

 芸能界では冒頭のEQリーグに加え、吉本興業が2018年3月にeスポーツ事業への参入を表明した。所属する芸能人をゲーム大会に参加させるほか、eスポーツ専業のプロチームを育成する。

 ネット企業の中でeスポーツ事業に熱心なのが、サイバーエージェント傘下のCyberZだ。2018年5月にエイベックス・エンタテインメントなどと共同でプロリーグを発足。KDDIやサッポロビールがスポンサーとなり、年間を通して試合を開きチャンピオンを決める。

 CyberZはeスポーツを中心にした動画配信サービス「OPENREC.tv」を運営しており、リーグ戦の様子を配信する。CyberZは2015年からeスポーツ大会を運営するなど同分野の老舗だ。

CyberZなどが開催する大会「RAGE」の様子。ステージは格闘技イベントのようにショーアップされている(写真提供:CyberZ)
[画像のクリックで拡大表示]
図 eスポーツに取り組む主な業界
様々な業界が商機を探る(写真提供:左からEQリーグ実行委員会、NTTドコモ、J.LEAGUE、ソフトバンク コマース&サービス)
[画像のクリックで拡大表示]

この先は有料会員の登録が必要です。「日経コンピュータ」定期購読者もログインしてお読みいただけます。有料会員(月額プラン)は初月無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら