2019年9月に台風15号が日本を襲い、続く10月には台風19号が上陸した。猛威により関東地方などで固定と携帯の通信サービスが止まった。15号では電柱の倒壊や道路の寸断、19号では堤防の決壊による設備の浸水など、通信事業者にとって厳しい事態が続いた。復旧まで最長20日間かかるなど、一般的な台風よりも時間を要した。

 2019年9月8~9日に本州に上陸した台風15号は千葉市で最大瞬間風速57.5メートルを記録するなど猛烈な風をもたらした。その結果、千葉県を中心に死傷者151人、4万棟超の住宅損傷など甚大な被害が出た。

 通信サービスにも近年にない規模の被害が出た。原因は主に2種類で停電と通信網の切断である。

 千葉県では木更津市で東京電力の送電線の鉄塔2基が倒壊するなど送電網の被害が大きく、台風15号が通過した直後の9日午後1時時点で62万1800戸が停電していた。NTT東日本はこの影響を受け、千葉県内にある電話局などビル211棟のうち約9割が停電した。

 NTTドコモとKDDI(au)、ソフトバンクの携帯電話大手3社は停電により、千葉県を中心にピーク時に合計で2846の携帯基地局が停波した。3社は全国に設営している携帯電話の基地局のほとんどを、各地の電力会社から商用電源を引き込んで運用している。

表 台風15号・19号に伴う、通信各社の固定回線や通信基地局の被害状況
復旧まで最長20日間かかった(出所:各社への取材と内閣府の資料を基に日経コンピュータ作成)
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1300カ所以上で通信網が損傷

 通信網の被害が最も大きかったのはNTT東だ。同社は東日本全域にアナログの電話線や光ファイバーを張り巡らせていて、その種類は主に3つある。電話局同士を結ぶ「基幹伝送路」、電話局から加入者宅近くの電柱まで延びる「アクセス設備」、電柱から個々の加入者宅に延びる「引き込み線」だ。

 「地下に埋めている基幹伝送路こそ無傷だったが、アクセス設備のケーブルは倒木や飛来物などによって1300カ所以上で切断や損傷に遭った」。同社の池田敬ネットワーク事業推進本部サービス運営部長は台風15号による通信網の被害をこう話す。

 NTT東はピーク時約12万固定回線が不通になった。その被害は携帯3社のサービスに間接的に影響した。

 携帯3社の通信網は拠点間を結ぶ「基幹伝送路」、拠点と各基地局とを結ぶ「エントランス回線」、基地局からユーザー端末までの「無線区間」に大別される。多くのエントランス回線にNTT東西の光ファイバー網を使うため、NTT東の通信網被害が影響した。

 一方、基幹伝送路は都道府県をまたぐ部分は3社とも2~3重化している。NTTドコモの場合は「おおむね各都道府県内で基幹伝送路をループ状に構成している。千葉県では一部に迂回ルートもある」(滝本恭祥ネットワーク本部サービス運営部災害対策室室長)。

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