2019年10月1日に3度目となる消費増税が実施され、軽減税率制度も始まった。同日、消費冷え込みを防ぐ目的などで、「キャッシュレス・ポイント還元事業」もスタート。複数の制度変更が重なったことによりIT対応が難しさを増し、全国の小売店や鉄道会社などでシステム障害が発生した。消費税が「0%」や「18%」で計算されるトラブルなどが相次いだ。

 「現時点においては大きなトラブルがあったということは報告を受けていません」。菅義偉官房長官は2019年10月1日午前の会見で消費増税IT対応のトラブル状況を問われ、こう発言した。

ミニストップやセコマで計算ミス

 だが実際はこの時点でコンビニチェーンの「ミニストップ」が数百店規模でシステム障害を起こしていた。全店約2000店に影響した可能性もある。

表 2019年10月1日前後に発生した消費増税に関する主なシステム障害
日本全国でトラブルが(日経 xTECH報道順)
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 10月1日に日付が変わった直後から3時間ほど、増税後にもかかわらず全ての商品の支払額を一律に税率8%の内税(税込み価格)で計算して販売した。

 持ち帰りの飲食料品は軽減税率により「税率8%」となるため、結果的に支払額は正しかったが、レシートには「内税10%」と誤記した。一方、軽減税率の対象外となる商品を税率10%で計算しなければならないところを8%で計算し、2%分少なく請求した。

 増税に合わせて消費税の計算方法を内税から外税に変更したが、この切り替えもできていなかった。そのため商品が値引きされている場合、1円以上過大に請求したケースもあった。

 トラブルは消費増税と同時に始めた値引きセールが引き金となった。前日の9月30日に本部は各店のPOSレジに対し、消費増税に対応した新しい商品マスターと、値引きの対象品目や値引き額を記したデータを配信した。

 しかし、値引きセールのデータが何らかの原因で、日付切り替えと同時に古い商品マスターを呼び出し、新しい商品マスターを上書きしてしまったという。午前3時ごろに本部が新しい商品マスターを定期配信したことで、POSレジが正常な動作に戻った。

 ミニストップでトラブルが発生していたころ、北海道を地盤とするコンビニチェーンのセイコーマートでもトラブルが起こっていた。交通系電子マネーで商品代金を支払おうとすると、残高が十分あってもPOSレジが「1円の残高不足」と誤認した。

 例えば残高が1000円ある交通系電子マネーで500円の商品を買おうとすると、電子マネーでは499円しか支払えず、現金で1円支払う必要があった。実際には499円引き落とされていた。

 不具合に気付いたセイコーマート本部はPOSレジのメッセージ配信機能を使って、店舗スタッフに客から1円をもらわずに会計を済ませるよう指示を出したという。トラブルが復旧した同日午前4時半ごろまでに、80件ほどの会計で不具合があった。

 セイコーマートを運営するセコマによると、不具合はキャッシュレス・ポイント還元事業(正式名称はキャッシュレス・消費者還元事業)に伴うシステム移行で生じた。具体的な原因は「公表できない」(広報)という。

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