2019年8月23日午後、Amazon Web Services(AWS)が6時間ほど停止した。日本のクラウドサービスで5割近いシェアを持つだけに影響は大きかった。原因は東京リージョンの一部エリアで発生した空調設備の故障だ。制御システムにフェイルオーバーしないバグがあり、機器制御装置も異常動作した。重要システムは冗長化するといった対策が利用企業に改めて求められている。

 「あれ?自転車が返せないぞ」。2019年8月23日午後1時すぎ、ドコモ・バイクシェアが運営するシェア自転車を東京都内で返却しようとした50代の会社員は戸惑った。

 通常なら自転車に鍵をかけてパネルのエンターキーを押せば「返却」と表示されて完了するが、何度押しても「返却場所ではない」と表示されるばかり。サポートセンターに電話してもつながらない。次の用事もあるため、鍵をかけて放置するしかなかった。

 サービスに不具合が生じたのは、同社が使う米アマゾン・ウェブ・サービスのクラウドサービス「Amazon Web Services(AWS)」の東京リージョンで午後0時36分から障害が発生したからだ。IaaS(インフラストラクチャー・アズ・ア・サービス)である仮想マシンサービスの「Amazon EC2」とストレージの「Amazon EBS」、PaaS(プラットフォーム・アズ・ア・サービス)であるリレーショナルデータベース(RDB)サービスの「Amazon RDS」の3つで障害が発生した。

 東京リージョンには4つのアベイラビリティーゾーン(独立性の高いデータセンター群、AZ)がある。うち1つでEC2の仮想マシンに障害が発生し、EBSのストレージの性能が低下した。RDSについても接続しにくくなった。同日午後6時30分に復旧するまで6時間ほどかかった。

シェアトップで障害、影響広がる

 MM総研によれば2018年度における国内クラウドサービスのシェア首位はAWSだった。IaaSでは47.1%、PaaSでも47.7%とほぼ半数がAWSユーザーだ。

 それだけに障害の影響範囲も広かった。東急ハンズは「販促キャンペーン中のEC(電子商取引)サイトが同日昼ごろ一時的にアクセス不能になった」(広報)とする。スマホ決済サービスのPayPayは同日午後1時14分から一部の利用者が支払いやチャージをできなくなった。楽天のフリマアプリ「ラクマ」は同日午後1時ごろから全ての機能が使えないトラブルが生じた。

 ユニクロのECサイトも同日午後1時ごろから午後4時ごろまでECサイトやスマートフォンアプリでログインや商品購入ができない事態に見舞われた。とんかつ店の「かつ吉 渋谷店」ではランチタイムにレジシステムが一時使えなくなったという。

 公式発表などを調べると30社超でシステムトラブルが発生した。被害を受けた企業はさらに多いとみられる。

表●AWSの障害でトラブルが生じたサービスやシステムの例
ECサイトや公式サイト、SaaS、ゲーム、レジまでトラブル
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