大分県の佐伯市と臼杵市で「積算システム」に不具合が発生した。工事の予定金額を誤って計算し、複数の入札がやり直しになった。原因は2019年5月1日の改元対応に伴うシステム改修にあった。システム内部の条件分岐に和暦を使っていたため、改元後に異なる地区の資材単価が適用され、誤りを生んだ。

 改元に伴うシステム改修に関して「国民生活に重大な影響が生ずるような事態は発生しなかった」「必要な対応はおおむね円滑に実施されたものと考えております」――。2019年6月10日の記者会見で菅義偉内閣官房長官がこう話した3日後。九州の自治体で新たな改元トラブルが表面化した。

 大分県佐伯(さいき)市は6月13日、市が発注した建設工事で費用の見積もりなどに使う「積算システム」に不具合が発生し、落札を取り消すなどの措置を取ったと発表した。工事に使うコンクリートなど資材の単価について、積算システムが誤って本来とは別の地区の単価を使用。これによって8件の工事で見積もりの計算が間違った。

 不具合の原因は平成から令和への改元に伴うシステムの改修にあった。改修作業は県外のシステム開発会社に委託しており、同じ会社が担当する大分県臼杵(うすき)市でも同様の不具合が発生。臼杵市は指名通知中の工事7件について、入札をやり直した。

 積算システムは自治体が公募によって工事を発注する際などに、落札目安となる見積額を示す「設計金額」や落札の上限額を示す「予定価格」、落札できる最低額を示す「最低制限価格」を計算するものだ。トラブルを起こした積算システムを佐伯市は2015年に、臼杵市は2014年に導入した。

 積算システムに市の担当者が工事区分のほかコンクリートやセメントといった資材の量、必要となる労務の種類や量などを入力すると、大分県が定める「土木工事積算単価」に基づいて設計金額などを計算する。大分県は土木工事積算単価をほぼ毎月更新しているので、積算システムが使用する単価もそれに合わせて更新する必要がある。

 土木工事積算単価の中でも「資材等単価」は、大分県内の28地区によって異なる値が設定されている。28地区にはそれぞれ「地区番号」が割り当てられている。佐伯地区は20番、臼杵地区は17番といった具合だ。積算システムはこの地区番号に基づいて各自治体が使用すべき単価データを取り込んで更新している。

きっかけは地区番号の変更

 トラブルのきっかけとなったのは、2013年(平成25年)10月に大分県が地区番号を変更したことだった。大分市と由布市をさらに細かく分けたことで、県内の地区が26から28へと2つ増えた。これに伴い佐伯地区の番号が18番から20番へ、臼杵地区の番号が15番から17番へと変わった。

図 2013年10月に加えた積算システムの改修内容
条件分岐に和暦を使っていた
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 この際に両市は積算システムを改修し、「単価適用日付」を使って条件を分岐することで2013年10月1日(平成25年10月1日)以降なら新しい地区番号にひも付く単価を、2013年10月1日より前なら変更前の地区番号にひも付く単価を使用するようにした。

 単価適用日付は「和暦2桁+月2桁+日2桁」の6桁のコードで表す。2013年10月1日なら「251001」といった具合だ。そして日付の値が251001よりも大きければ、2013年10月1日以降だと判断していた。

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