横浜市の鶴見区役所で交付前のマイナンバーカード78枚と交付用端末のノートパソコン1台が盗まれた。職員がルールに従わず窓口の交付用端末でカードの検品作業をしていた。カードを置いたまま離席した短い時間の出来事だった。1度に78枚ものカードが紛失したのは例がなく、制度の信頼性が揺らぐ。

写真 神奈川県横浜市の鶴見区役所庁舎
効率優先で交付作業、盗難のすきを生んだ
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 「パソコンの管理を含めてリスクを想定せず効率を優先してしまった。危機管理の意識が低かった」。鶴見区戸籍課の担当者は反省の弁を述べる。

 横浜市北東部に位置する鶴見区の区役所で2018年2月21日に、交付前のマイナンバーカード78枚と窓口に置いてあった交付用端末1台が盗まれた。6月時点で見つかっていない。1度に78枚のカードが紛失したのも、カードと端末の両方が同時に盗難に遭ったのも全国初の事件である。盗難被害の背景には、横浜市が設けていた複数のルールが徹底されていなかったという実態があった。

 交付前のマイナンバーカードには、カードを申請した住民の氏名や住所、生年月日、性別といった個人情報のほか、顔写真やマイナンバーが記載されていた。盗まれた端末はマイナンバーカードの交付や暗証番号の設定・確認ができるノートパソコンだった。

離席したすきに盗難

 事件が発生したのは窓口業務の終了後とみられる。窓口にカードを受け取りに来た申請者がいなかったため、カードの交付を担当していた職員が窓口を離れて他の業務の片付け作業を始めた。この時、ノートパソコンの上には検品作業中のカードが置かれたままだった。

 鶴見区役所のカード交付窓口は、端末の操作やカードの検品作業ができる正規職員1人と、補助作業に従事するアルバイト職員2人の計3人が担当している。検品作業に従事する正規職員は専任ではなく、複数の職員がローテーションで担当する。

 2月21日午後5時15分、戸籍課の全職員が終礼のために集まった。集合場所からは窓口のカウンターに置かれた端末は見えない。同30分に職員が窓口に設置していた端末を順次、保管庫に片付けた。その際に職員は端末が1台足りないことに気付いたものの、別の職員が片付けたと思い込んでしまった。これまでも端末の台数やカードの枚数は確認せずに、紙箱に入れて保管庫に片付けて施錠していたためだ。

 翌22日午前8時15分、職員が始業の準備をしている際に端末が足りないと気付いた。端末上に置いていたカード78枚も見当たらなかった。戸籍課の執務室内を探したり、区役所の全職員に調べてもらったりした。それでも発見できず、神奈川県警の鶴見警察署に相談。23日に盗難の被害届を出した。

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