2019年5月、キャッシュレス社会を支える中核システムの1つにトラブルが生じた。30万店以上で電子マネーやQRコードを使った決済が4度完了しにくくなった。凸版印刷と富士通エフ・アイ・ピーが共同運営する決済系サービスでデータベースサーバーを入れ替えたところ、立て続けに障害が発生したためだ。トラブル対応に不手際があり、影響を拡大させた。

 「使えたり使えなかったりで店頭は大混乱だった」。東京都江東区の書店で働く女性店員は2019年5月24日にプリペイドカード「図書カードNEXT」が一時使えなくなったトラブルをこう振り返る。「カードが使えず、現金で買ってもらったり取り置きを勧めたりしたが、怒って帰る客もいた」。

 同日、全国の小売店や外食店で一斉に電子マネーやプリペイドカード、QRコードを使った決済ができなくなるトラブルが発生した。原因は凸版印刷と富士通エフ・アイ・ピー(FIP)が共同運営する2つのサービスで起こったシステム障害だ。

 2つのサービスとは、電子マネーやプリペイドカードの決済サービス「サーバ管理型プリペイドASPサービス」と、店舗とQRコード決済事業者との間で決済情報を中継する「スイッチングゲートウェイ」である。150社以上が全国30万店以上で導入しており、影響は最大で約27万5000件に及んだ。

 冒頭の女性店員によると、5月24日午後3時過ぎから図書カードNEXTが使えなくなったという。「店長から全国的に使えなくなっていると説明を受けた」(女性店員)。

 凸版印刷と富士通FIPは2006年にサーバ管理型プリペイドASPサービスを稼働させた。2018年度の取扱額は約8000億円まで拡大した。図書カードNEXTのほか、ドン・キホーテや良品計画、ライフコーポレーションなど小売り大手が同サービスを使ってハウスカードを顧客に提供している。10年以上の運用実績と大手からの受注を追い風に利用企業数を増やしてきた。

 もう1つのスイッチングゲートウェイは2018年10月に始めたサービスだ。「LINE Pay」や「PayPay」など複数のQRコード決済に対応する。利用企業はQRコード決済事業者が増えてもPOSレジを改修しなくても済む。同サービスはサーバ管理型プリペイドASPサービスのシステム基盤上で稼働している。

図 決済系サービスの概要
電子マネーとQRコードの決済を集約
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 日経コンピュータの取材により、5月24日から30日にかけて少なくとも4回のトラブルが発生していたと分かった。きっかけは凸版印刷と富士通FIPが実施したデータベース(DB)サーバーの入れ替えだ。

表 決済系サービスにおけるトラブルの経緯
DBサーバー刷新後に4度のトラブル
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 両社はサーバー機のハード保守切れに伴い、5月24日午前1時から7時にかけてハードを新型機に刷新。データベース管理システム(DBMS)をバージョンアップした。「顧客が増えたので性能を高めた」(富士通FIPの小高信人執行役員サービスビジネス本部長)。DBMSの製品名は公表していない。

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