freeeは2018年10月末、会計関連のクラウドサービス全てを一時停止させた。ログインがらみの不具合を調べた結果、他の機能の多くが使えない状態と判明。機能を復旧させた際の影響調査のために2時間半、停止させた。復旧後は全社挙げて再発の防止に取り組んでいる。管理システムの機能を見直す、復旧手順を標準化するなどの対策を講じた。

 2018年10月31日、freeeが提供する会計クラウド「クラウド会計ソフトfreee」が全サービス停止に追い込まれた。freeeを利用する企業や個人事業主は、午後0時30分ごろから約2時間半にわたって経理や会計処理などができなくなった。

表 会計関連のクラウドサービスで発生した不具合とfreeeの対応状況
運用面の課題が不具合で明らかに(出所:freeeの公表内容を基に日経コンピュータ作成)
[画像のクリックで拡大表示]

 仮に丸1日止まっていれば、全国100万の事業所が経理や会計の締め処理をできなくなる恐れがあった。同日、freeeは自社サイトなどを通して「お客様にご迷惑とご心配をおかけしましたことを深く反省するとともに、再発防止策を実施し、安定したサービスの提供に努めてまいります」とのコメントを発表した。

 freeeはクラウド会計ソフトを手掛ける2012年創業のITベンダーだ。「勘定科目などをマウスなどで選択していくことで経理処理ができる」といった手軽さを前面に打ち出し、2013年3月にサービスを始めた。ペーパーレスで効率的に経理処理できる点に注目が集まり、2018年には中堅中小企業を中心に100万以上の事業所が利用するまでに成長した。

 会計サービスが2時間半にわたって停止したのは、ある機能の不具合がきっかけだった。不具合の原因はほどなく突き止めたが、修正がサービス全体に悪影響を及ぼさないかの確認に手間取り、再開まで時間がかかった。中堅中小企業の基幹業務を担うクラウドサービスの安定提供に課題を残した格好だ。

フラグの操作ミスで機能が無効に

 サービス停止のきっかけになる不具合に気付いたのは午前11時24分だった。エンジニアチームの担当者は管理システムの画面に大量のエラーメッセージが表示されているのを発見。エラーの原因を調べたところ「ログインする事業所アカウントを切り替える機能」に不具合が起きていた。

 ユーザー企業がfreeeのサービスを使う際は、事業所ごとにアカウントを設定し、事業所単位で経理処理をする。複数の事業所について処理をする場合は、事業所ごとにログインし直す必要がある。この操作ができなくなっていた。午前11時30分ごろには顧客からも不具合の問い合わせが届き始めた。

 エンジニアチームが不具合を調査したところ、freeeがサービスの管理システムに組み込んでいた独自の仕組み「リリースフラグ」の設定に原因があると分かった。

 リリースフラグはいわば、サービスの新機能のオンとオフを切り替えるスイッチだ。クラウドサービスを止めることなく、機能の実装と切り戻しを簡単に実行できる。

 ユーザーが別の事業所にログインできない不具合の原因は、ログインをし直す機能のリリースフラグがオフになっていたことにあった。何らかの操作ミスでオフになったとみられる。このリリースフラグをオンにすれば、システムを停止しなくても不具合は解消できるはずだった。

この先は有料会員の登録が必要です。「日経コンピュータ」定期購読者もログインしてお読みいただけます。有料会員(月額プラン)は初月無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら