「7%増、29%増、13%減、38%減、16%増」。エレベーターに乗っているかのように上下する数字は、スーパーコンピューターメーカー、米クレイの2014年から2018年にかけての売上高増減率である。

 国産スパコンメーカーの幹部は「クレイは事業の8割を米政府機関に依存しており、それが弱みであり強みだ」と指摘する。政府機関の予算変動に翻弄されながらも、今日のような中国とのハイテク競争があるため、大型商談が一定のサイクルで巡ってくる。

 クレイの過去5年間の開発費合計は568億円(1ドル110円換算)。同期間の売上高の19%を開発費に投じたクレイにとって、5月17日に買収で合意した米ヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)は売上高で約70倍もある強固な後ろ盾になる。米規制当局の承認を待って遅くとも2020年1月までにクレイはHPEの傘下に入る。

独立組織「クレイ事業部」に

 HPEの日本法人である日本ヒューレット・パッカードおよびクレイジャパンは買収に関してコメントしなかったが、クレイのある顧客によると、クレイはHPEの中でクレイ事業部という独立組織となり、HPEのHPC(ハイ・パフォーマンス・コンピューティング)部門がクレイ事業部に吸収される形になるという。クレイのピーター・ウンガロ社長兼CEO(最高経営責任者)がクレイ事業部を率いる。同氏は34歳で米IBMのHPC責任者となり36歳でクレイのCEOに就任した。

 先の国産メーカー幹部はHPEが1430億円でクレイの買収を決めたことを「お得な買い物」と称賛した。クレイは高度なHPCテクノロジーを持ち、かなりの受注残を抱えるからだ。

 クレイはHPEと買収で合意する10日前に米オークリッジ国立研究所(ORNL)から660億円でFrontierと呼ぶシステムを受注。その7週間前には米インテルのサブコントラクターとして550億円以上のシステムAuroraを米アルゴンヌ国立研究所(ANL)から受注している。2システムの稼働時期は2021年から2022年の間で、処理性能はオークリッジのFrontierが1.5エクサFLOPS、アルゴンヌのAuroraが1エクサFLOPSと見込まれている。

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