「時間がない」。富士通の塚野英博副社長が今年の年賀状に書き添えた言葉である。賀状を受け取ったソフト開発会社のトップは驚いた。「例年は『改革する』と書かれていた」からだ。

 このトップは次のように感じた。「秋草(直之)社長以降、任期は通例5年。田中(達也)社長も5年なら2020年6月末で退任。塚野さんも一緒だろう。あと1年しかなく道半ばで終わってしまうという焦りがあるのかな。時間がないのは内憂外患の富士通も同じだが」。

立て直しは節約から

 塚野副社長は現在、社長補佐の最高財務責任者(CFO)である。2018年は最高戦略責任者(CSO)も兼務していた。業績会見で「節約」という言葉を好んで口にし、富士通幹部からは「節約が先行し兵糧を出し渋る。CSOのSは節約のS」という陰口も聞こえた。

 塚野氏はCFO就任時の2014年度に1406億円あった設備投資に大ナタを振るい、2017年度には940億円に削減。2000年度には4380億円あったから文字通り桁が違う。研究開発費も2014年度の2027億円を2017年度は1586億円に減らした。こちらも2000年度の4034億円とは雲泥の差となっている。

 内憂外患のうち国内は2019年1月からサービス3部門とプラットフォーム(ハード)の計4部門を新設の「テクノロジーソリューション部門」に統合し、SE出身者が統括する。グループ会社も含めてSEや営業、サービス担当者を本体にまとめて動かす「ワン富士通」を目指す。ハードについてはUNIXサーバーやストレージ事業を中止する話が出ているという。

 人事・総務・経理など事務部門の3割5000人に、営業かSEに職種転換するか退職するかを1月末までに選択させた結果、2850人が退職を決めた。「辞めすぎ」と憂慮する子会社役員がいる一方、「今まで人が多すぎた」と支持する関連会社社長もいる。この社長は「組織を統合し、無駄を削った後、分社戦略でメリハリをつけるべきだ」と言う。

 富士通を数十社に分社し、それぞれに伸びるビジネスを考えさせ、成功したビジネスに経営資源を寄せていくアイデアだ。「AI(人工知能)やクラウド、分析といった素材を使うソリューションを数十社に見つけ出してもらう」。同時に利益が出る従来事業に集中し、ミルクを出し続けるキャッシュカウの事業会社を作ることも重要だという。

 内憂外患のうち海外について塚野副社長は2018年7月の業績発表の席上、「私の時間のすべてを海外事業(をどうするか考えること)に費やしている」と述べた。その結果は同年10月、田中社長の「海外売上高比率は考えない」との発言につながった。今後は海外事業を徐々に縮小していくとみられる。

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