「70歳までの就労機会が確保されるようになったら、高齢者だけで基幹系システムの面倒を見る企業が増えそうですね」。基幹系システムの老朽化問題についてITベンダーの幹部と話していたとき、幹部の口から皮肉交じりの言葉が飛び出した。

 政府が70歳までの就業機会を確保する方針を打ち出したとの報道を受けての発言だ。2019年6月5日に開催した未来投資会議(議長・安倍晋三首相)で示した成長戦略実行計画案に盛り込まれたもので、企業に努力義務を課す法案を2019年度中に提出するという。

 IT部門でも今後、60歳以上のベテランの比率が高まりそうだ。基幹系システムなどに精通した経験豊富な技術者は貴重な戦力だから、長く働いてもらえるのは悪い話ではない。ただ基幹系システム自体の「高齢化」も同時に進行しているため、多くの企業で深刻な問題が生じる可能性がある。

 日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)が実施した「企業IT動向調査2019」によると、21年以上前に構築された基幹系システムは全体の22.3%、10~20年前に構築されたものは33.8%に達している。3年前の調査に比べると、10~20年前に構築されたシステムは5.3ポイント減少したが、21年以上前に構築されたシステムは1.9ポイント増加している。

 21年以上前に構築した基幹系システムを使い続けている企業の場合、システム刷新プロジェクトを経験した人は若くても40代半ばだ。マネジャーやリーダーなどの立場で参画した人に限定すると、既に50代に達している。

 しかも高齢化した基幹系システムの保守運用は、刷新プロジェクトを経験したベテランが担当しているケースが多い。過去のリストラの影響で中堅や若手が不足しているIT部門は少なくないからだ。数少ない若手をネット系システムやデジタルビジネス関連のシステムの担当に振り向けた結果、基幹系システムの保守運用は、ベテランが一手に引き受けざるを得なくなった。

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