これまで情報システムのリスクと言えば、ソフトウエアのバグやヒューマンエラーが原因で生じるシステム障害、あるいはサイバー攻撃による情報漏洩などが代表例だった。だが、デジタルの時代には新たなリスクの管理が経営課題になりそうだ。

 新たなリスクとはシステムの価値が突然失われる事態だ。デジタルビジネスを支えるシステムは、会計などバックヤードのシステムと異なり、収益を生み出すための資産である。収益を上げる見通しが立たなくなったり、開発費が過度に膨らみ減価償却費がビジネスの収益を大きく圧迫したりする状況になれば、システムは費やした開発費に見合う価値を失ってしまう。

 システムの価値が失われるリスクは将来の話ではない。既に今あるリスクだ。実際に三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)とみずほフィナンシャルグループが2019年3月期決算で、システム関連の巨額の減損損失を計上したと発表している。

 MUFGはクレジットカード子会社のシステム統合計画を見直し、システム統合関連資産の減損損失として約940億円を計上した。みずほFGは勘定系システムを含む固定資産の減損損失として5007億円を計上している。

 銀行やクレジットカード会社の基幹系(勘定系)システムは金融ビジネスを直接支えている。つまり収益を上げるためのシステムだ。

 みずほFGが減損損失の計上に踏み切ったのは、個人向け事業の収益環境が悪化したからだ。新システムへの巨額投資に見合う収益を上げる見通しが立たなくなった。MUFGも決済事業環境の急速な変化が今後とも続くとの見通しから、システム統合計画の見直しと減損損失の計上に踏み切った。QRコード決済など低コストの決済インフラの普及による、クレジットカード事業の収益悪化の可能性を見越してのことだろう。

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