2024年度に発行される新紙幣のデザインが発表され、新たなお札の顔となる人物に関心が集まっている。紙幣に人物が描かれるのはなぜだろうか。調べてみて、なるほどと思った。

 理由は2つある。偽造を防ぐためと、紙幣への認識を深めてもらうためだ。人は顔を見分けることに慣れており、少しのずれにも違和感を持つので偽造防止に効果がある。そして描かれた著名人に親しみを感じ、紙幣に対する愛着も深まっていく。

 確かに渋沢栄一、津田梅子、北里柴三郎はどんな人かと改めて調べていく中で、肖像画は記憶に刻み込まれ、新紙幣への認知も進むだろう。そう言えば福沢諭吉が描かれているため、現行の1万円札は「諭吉」と俗称される。昭和には「聖徳太子」と呼ばれたりもした。令和の時代では「栄一」と言われるのかもしれない。

 顔が重要なのは紙幣に限った話ではない。ビジネスの世界でも様々な職業の顔が存在する。ノーベル賞を受賞した科学者、ミシュラン三ツ星レストランのシェフ、「木工の匠」と称される町工場の職人、「伝説の営業」と呼ばれる営業パーソンといった具合だ。

 IT分野でも例えばAI(人工知能)、オープンソースソフトウエアなどの領域で著名人が何人もいる。その頂点と言えるのがスティーブ・ジョブズだろう。亡くなった今でもアップルの顔であるだけでなく、IT産業全体の顔であり続けている。

 専門家や業界人でなければ仕事の内容を理解するのが難しい職業であっても、顔となる人がいれば広く関心を持ってもらえる。本物のプロのすごさや業績を知り、その職業に憧れを抱いて門をたたく若者が増える効果も期待できる。同業の若手たちもその人を目標に、自分の仕事のレベルを上げようと努力するはずだ。

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