新年度が始まり企業は新たなIT人材を迎えた。ユーザー企業やITベンダーを問わず、彼らの多くは従来のIT人材とは異なる道を歩むことになるはずだ。バックヤードのシステム案件ではなく、ビジネスのフロントでのデジタル活用を担うのは、柔軟な発想力を持った若い人材がふさわしい。

 提案をしたい。そろそろ人材を「人財」と表記するのをやめないか。人財は人と財産を組み合わせた造語で、特にITベンダーはホームページで表記するなど好んで使う。ユーザー企業でも「当社のIT人財」などと書くCIO(最高情報責任者)がいる。

 人を大切しているとのメッセージを発したいのだろう。システム開発には大勢の技術者が必要になる。一から作り上げるシステムなら、技術者の作業が全ての付加価値を生み出すと言ってもよい。システム開発は人月(人数×稼働月数)で表す工数で料金が決まるから、ITベンダーはプロジェクトに何人の技術者を投入できるかで売り上げが変わる。人はまさに利益を生み出してくれる財産である。

 以前、人財の表記を使うITベンダーの経営者にその理由を聞くと「人はビジネスの材料ではなくて財産なんだ。だから人材ではなく人財」との答えが返ってきた。ITベンダーが人財という表記を使うのは、マイナスのイメージを払拭したいという狙いもありそうだ。多くのITベンダーが多重下請けの形でシステムを開発するため、技術者を消耗品のように扱っているとの批判があるからだ。

 実は人材の「材」の意味を誤解している人が多い。材には材料という意味のほかに、才能や能力との意味がある。つまり人材はビジネスの材料として使われる人ではなく、ビジネスを生み出す才能や能力のある人を意味する。

 AI(人工知能)やIoT(インターネット・オブ・シングズ)などを活用してデジタルサービスを立ち上げるには、大勢の「人財」を投入する労働集約型のやり方では難しい。様々な才能や能力を持った多彩な「人材」を採用し、育て、プロジェクトに参画させる必要がある。人財という表記はもう時代遅れだ。

この先は有料会員の登録が必要です。「日経コンピュータ」定期購読者もログインしてお読みいただけます。今なら有料会員(月額プラン)が12月末まで無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら