テルモは約30年ぶりに物流システムを刷新した。過去に2度プロジェクトに失敗し、社内にはIT部門への不信感もあった。「3度目の正直」で成功した要因は、正攻法ともいえるマネジメントにあった。

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 「過去2度失敗していたため、物流システムの刷新は社内でトラウマになっていた。情報システム部門に不信感を抱く社員もいた」。テルモの竹内克也執行役員CIO(最高情報責任者)は、こう振り返る。

 テルモは2018年5月、約30年ぶりに物流システムを刷新した。欧州SAPのERP(統合基幹業務システム)パッケージ「S/4HANA」を使って構築し、インフラにはSAPが提供するクラウドサービス「SAP HANA Enterprise Cloud」を採用した。導入プロジェクト期間は1年ほど。稼働当初は周辺システムとの接続の不具合に悩まされたが、半年以上たった現在は安定的に稼働している。

テルモの主力製品であるステント
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 円滑に進んだかにみえるプロジェクトだが、開始時点の社内の雰囲気は「本当に成功するのか、という厳しい見方もあった。全員が一丸になっていたわけではかった」(竹内CIO)。過去の失敗により社内にプロジェクトへの疑心が広がっていた。

 1度めの失敗は2000年代前半だった。メインフレームで稼働していた基幹系システムを、自社開発を中心に刷新するプロジェクトが発足。会計などの一部機能は稼働したが、物流は稼働に至らなかった。2回目は2010年代前半だった。米オラクルのERPパッケージを利用して再び基幹系システムを刷新しようとしたが、やはり会計などの一部機能しか完成せず、物流は稼働に失敗。責任の所在を巡って開発を委託したITベンダーを提訴する事態となった。

 刷新に2度失敗した物流システムだったが、そのまま塩漬けにしておくのも難しかった。「老朽化が問題になっていた」と竹内CIOは打ち明ける。物流システムは1986年からメインフレーム上で稼働していた。メインフレームのサポートは切れ、数百万ステップに及ぶアプリケーションは仕様書が残っておらず、保守の限界を迎えていた。

 テルモは2015年に、グローバルで基幹系システムを統一する方針を策定。2023年度までに数百憶円を投じる計画を立てた。その第一弾として、刷新が急務だった物流システムに白羽の矢が立った。

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