日本取引所グループが全社でRPAの導入に踏み切った。システムにしにくい取引所特有の業務の自動化を狙う。業務に要する時間を減らしつつ、人為的ミスを無くす効果が出始めた。

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 東京証券取引所(東証)を中核とする日本取引所グループ(JPX)がRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を活用した業務改革を進めている。2017年春から準備を始め、2018年4月にRPAを本格導入した。

 順次適用業務を増やし、2018年11月上旬までに111の業務でRPAの利用を始めた。さらに広げ、2019年3月末までに150業務への導入を目指す。既にETF(上場投資信託)関連事務については所要時間を月12時間程度減らした。正確さを高めるなどの効果も見え始めた。

写真提供:日本取引所グループ(左)
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 RPAはPCを使った定型作業を自動化する。事務作業を自動化して人員削減につなげる企業もある。JPXは人員を減らすよりもむしろ「業務の品質改善」を重視した。東証の嵯峨錠二IT開発部課長は「取引所の業務は少量多品種。手作業に頼りがちだった」と話す。習熟するまでに時間がかかるほか、手作業なのでミスの懸念もあった。

 東証と言えば、売買取引システム「arrowhead(アローヘッド)」が知られる。応答時間は約0.3ミリ秒と高速で、1日当たり数千万件の注文をさばく。高度に自動化された取引システムの裏側には無数の事務作業が存在する。東証には約3600社が株式を上場しており、上場企業が提出する文書の確認や集計などの業務が発生する。株式以外にもETFが約200銘柄、REIT(不動産投資信託)が約60銘柄上場しており、これらの発行主体が提出する文書に伴う業務もある。

 業務の種類は多いものの、一つひとつの作業頻度は週1回あるいは月1回にとどまる。頻度が低いとはいえ、いずれも欠かせない業務である。こうした「少量多品種」の業務の積み重ねが、取引所の運営を支えている。

 多様な業務の効率化を図るため、2017年5月にIT開発部を中心にRPA事務局を結成し、検討に着手した。まず3種類のRPAソフトを比べ、米UiPathの「UiPath(ユーアイパス)」を選んだ。他のソフトよりも機能が豊富だと判断した。導入するPCの台数に応じた料金体系を採っており、一部で導入してから順次広げる「スモールスタート」がしやすい点も評価した。

 RPAの導入支援は日本IBMに依頼した。「RPAを動かすだけなら容易だが、活用を組織的に広めるには外部のノウハウが不可欠だと考えた」(岡田暁光IT開発部課長)。

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