東日本旅客鉄道はコールセンターにAI(人工知能)を導入した。客の質問を分析して回答候補をオペレーターに示す仕組みを作り上げた。問い合わせ1件あたりの応対時間を3割減らすなどの成果が出ている。

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(写真提供:東日本旅客鉄道)
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 電話による客の問い合わせに対してAIが回答候補を示す――。東日本旅客鉄道(JR東日本)が構築した「お問い合わせセンター業務支援システム」はそんな機能を備えた新システムだ。2018年4月にコールセンターで本格稼働を始めた。問い合わせの音声を文字データに変換してAIが分析、回答候補を探し出してオペレーターに提示する。電車の運賃や発車時刻などを聞かれた際にオペレーターが素早く答えられるようにするのが目的だ。

 米IBMのAIシステム「Watson(ワトソン)」を導入した。1日あたり数千~数万件の問い合わせを処理する。「電話応対にかかる時間を1件あたり3割減らしたオペレーターもいる」。JR東日本の岡本みちのサービス品質改革部課長はこう成果を話す。「同じ業務時間に扱える電話の件数が2割増えた。顧客サービスの向上につながっている」(同氏)。

 回答候補を出す仕組みはこうだ。ワトソンの音声認識機能である「IBM Watson Speech to Text」に顧客の声を入力してテキストデータに変換する。それを質問応答システムの「IBM Watson Discovery」に引き渡す。

 Discoveryにはあらかじめ学習データを入力しておく。質問と回答の組み合わせである「QA集」や運賃、時刻表、乗り換えに関する情報、規定集などだ。これらの学習データを基にして、送られてきたテキストをワトソンが分析。質問に対する回答候補を探し出してオペレーターのPC画面に表示する。

 オペレーターは回答候補をクリックしてその内容を参照しながら質問に答える。電話での応対を終えると、オペレーターはワトソンが導き出した回答候補が役に立ったかどうかをフィードバックする。役に立った場合はその旨を、そうでなければ実際に回答した内容を入力する。その内容はJR東日本のシステム管理者による選定を経て学習データに追加、回答候補の選定精度を高めていく。

図 お問い合わせセンター業務支援システムを使った処理の流れ
オペレーターに回答候補を提示(画像提供:日本IBM)
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