健康的な行動を取ると保険料が安くなる新しい生命保険商品を開発した。提携した海外企業のパッケージを導入したものの、文化の違いから開発が難航。システム部員が両社の溝を埋める橋渡し役を務め、成功にこぎ着けた。

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 毎日歩いた、健康診断を受けた、スポーツジムで運動をした―。契約者が健康につながる活動をすると保険料を割り引く新しい生命保険サービス「Vitality」を住友生命保険が2018年7月中にも発売する。契約者の健康関連活動に応じて保険料が決まる、「健康増進型」と呼ぶ新ジャンルの保険商品。死亡保障や医療保険など様々な商品をVitalityブランドで提供する予定だ。

 毎日の歩行数はスマートフォンの専用アプリや契約者が自ら用意したウエアラブル端末で計測する。契約者はWeb画面や専用アプリを通じて健康ランクを確認でき、提携企業のサービスを割安で利用するなど健康ランクに応じた特典も利用できる。

 南アフリカの金融大手ディスカバリーが1997年に発売し、10カ国以上で提供している。住友生命は2016年7月に同社と提携。日本向けの商品開発とシステム構築を進めてきた。人口減少で国内生保の需要が先細りするなか、新たな需要開拓を急ぐ。

 「当社の今後の商品戦略全般に影響する重要プロジェクトだ」。システム戦略を担う汐満達執行役員情報システム部長はVitalityの開発についてこう説明する。「契約者に行動を働きかけて料金を変動させるVitalityの仕組みを使い、高齢化社会に向けた独自商品も開発したい」(同)。

(写真提供(パンフレット、ウエアラブル端末):住友生命保険)
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金融監査への対応でAzureを採用

 Vitalityのシステムはディスカバリーが開発したパッケージソフト「Vitalityパッケージ」と、住友生命が運営する既存の保険契約管理システムから成る。前者はウエアラブル機器などから集めた契約者データの管理や、保険料算定の根拠となる健康ランクの判定などを担う。後者の役割は契約情報の管理や保険料計算、料金収納だ。

図 新保険サービス「Vitality」向けシステムの概要
IoT連動・価格変動型の基盤を2年で構築
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 住友生命はVitalityパッケージの機能を日本向けにカスタマイズすることに加え、Vitalityパッケージと保険契約管理システムを相互接続する必要があった。まず提携発表後の2016年8~9月にディスカバリーを交えて開発方針をまとめた。住友生命が日本市場向けの商品内容を固めて要件を定義し、ディスカバリーがパッケージを改修するという分担作業を決めた。

 開発手法はディスカバリーが提案するアジャイル開発を採用。要件定義と開発、テストというサイクルをプロジェクトの初期は4~5カ月、後期は1~3カ月の単位で繰り返した。一般的なアジャイル開発は1サイクルを1~2週間にする。これは開発チームが1カ所に集まって作業することが前提だ。今回は日本側の住友生命と南アのディスカバリーとに部隊が分かれており、密な連携が難しい。そこで日本側で要件をある程度固めてから南ア側で開発に移る「ウォータフォールとアジャイルの折衷型」(住友生命の岸和良情報システム部担当部長)を採用した。

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