東京急行電鉄は手書きの紙を中心とした乗務員管理からの脱却に挑んだ。国から効率化の余地を指摘され、業務改善とシステム化に乗り出した。アジャイル型を採用、20代の若手が業務改革を主導した。

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 ITを活用して利便性の高い移動手段を提供するMaaS(モビリティー・アズ・ア・サービス)に参入するなどデジタル分野に意欲を見せる大手私鉄の東京急行電鉄。新規事業に乗り出せるのも、東京都と神奈川県を結ぶ東急田園都市線など8つの路線で1日当たり約318万人(2016年度)を運ぶ鉄道事業の安全確保があってこそだ。

 安全性の向上には、運転手や車掌といった乗務員1人ひとりの労務・資質管理、技能を高める指導や育成が欠かせない。だが、現場も本社も手書きの紙を前提にした業務フローだったため、集計と情報共有に手間がかかり、指導や育成に時間を割きにくい状態が長かった。そんななか2015年に国土交通省関東運輸局の定期監査で「乗務員の管理に向上の余地があるのではないか」との指摘を受けた。

図 「乗務員監督業務改革プロジェクト」実施の背景
何をするにも紙が前提、指導と育成の時間確保が課題に(出所:東京急行電鉄の資料を基に日経コンピュータ作成)
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 乗務員の管理業務を効率化する必要に迫られた東急電鉄は業務フローを見直すプロジェクトを「出発進行」させた。2017年10月に新しいシステムを稼働させた。紙で管理していた情報を電子データで一元管理する「CrewNavi(クルナビ)」である。

図 乗務区ごとに異なる帳票を集約・電子化した「CrewNavi」システム
帳票を画面に反映(出所:東京急行電鉄)
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 CrewNaviは資格や属性、健康状態といった乗務員の情報のほか、日々の運転状況、輸送障害や事故対応の情報などを一元管理する。紙の入力や転記、確認といった作業が大幅に減り、本社と現場が素早く情報共有できるようになった。乗務員の指導や教育に充てる時間が増えるなど、安全性向上に寄与しているという。

 鉄道事業の業務領域は幅広い。東急電鉄はCrewNaviを使う業務を段階的に増やしている。2018年6月に第2段階の「STEP2」を終え、現在は次の「STEP3」に取り組んでいる。

 CrewNaviの開発プロジェクトは「乗務員監督業務改革プロジェクト」と呼ばれた。チームの1人で、鉄道事業本部運転車両部保安課に所属していた沢口俊彦氏は「CrewNaviの活用が進むに連れ、現場から新たな使い方の提案や追加機能の要望が寄せられるようになった」と手応えを語る。

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