ANAがデジタルイノベーションの加速に向けスロットルレバーを前に倒した。IT部門だけで担っていた体制を改め、経営企画部門とタッグを組む形にした。両部門を率いる整備部門出身のCIOは、内製力を重視する。

 2018年4月に経営企画部門の企画室とIT部門である業務プロセス改革室の担当役員に就いた。平子裕志氏社長からは「イノベーションを進めてほしい」と言われている。

 従来はIT部門がイノベーション推進を担当していたが、どうしてもシステムの日々の保守運用業務に時間を取られてしまう。そこで経営企画部門にイノベーション担当チームを設けた。23人いるチームメンバーのうち専任は2人だけ。あとはITはもちろん空港や運航など各部門の現場担当者に兼任させることで、現場の課題やニーズを拾いやすくした。

1957年生まれ。1981年東大工学部卒、全日本空輸入社。営業推進本部商品企画部主席部員、整備センター部品事業室長、上席執行役員調達部長などを経て2018年4月から現職。東京オリンピック・パラリンピック推進本部 副本部長も兼任する。(写真:陶山 勉)

 メンバーにはまず2種類の「イノベーションマップ」を作ってもらった。1つは顧客目線のもの。具体的には予約・購入から搭乗手続き、到着後まで一連の流れを描き、それぞれの顧客接点にデジタルを活用することでサービスをどのように改善できるかを1枚の絵にまとめた。

 もう1つは従業員の目線で、私たち自身の仕事をデジタルなどで置き換えて現場を楽にできるか、働き方改革を進められるかをまとめたものだ。IT部門だけで進めようとしていたときには、現場のニーズを集めてまとめることまでは、なかなか手が回らなかった。

 チームメンバーは全員がデジタルに明るいわけではない。現場のニーズにどんなテクノロジーを適用できるのかを検討するところは、IT部門の出番だ。経営企画とITの両部門の力を掛け算にすることが、イノベーションを推進するうえで大事になる。

 東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年を大きな節目とし、それに向け空港での旅客誘導の高度化などイノベーションを1つずつ形にしていきたい。PoC(概念実証)のための予算は企画室があらかじめ確保し、個々の案件を稟議を通さず迅速に推進できるようにした。効果はてきめんで、2018年度下期だけで20件近いPoCに取り組んでいる。

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