医療機器メーカーのテルモは海外の売上高が全体の7割を占める。鬼門の物流システム刷新を成功させたCIOはITのグローバル化を牽引。ITガバナンスの確立と基幹系システムのグローバル統一に挑む。

竹内 克也(たけうち・かつや)氏
日系製造業にて30年以上情報システム企画・構築に従事。米国、欧州の地域統括会社でIT部門を立ち上げ、帰国後グローバルITガバナンスを推進。2014年に情報戦略部長としてテルモ入社。2015年に執行役員とCIOに就任した。(写真:小野 さやか)
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 過去2回失敗した物流システムの導入にどうやって成功したのか。こう聞かれるたびに「特別なことは何もしていない」と答えている。

 当社は2000年代前半と2010年代前半の2回、国内の物流システムの刷新に失敗した。私が着任した2014年には現場や経営陣がIT部門に不信感を抱き、IT部門は自信を失っていた。3回目の物流システムの刷新に取り組むために実践したのは「教科書通り」の正攻法だ。

 関係者にヒアリングし、失敗の最も大きな原因はプロジェクトメンバーの当事者意識の欠如にあったと考えた。そこで今回は経営トップにプロジェクトを主導してもらい、現場の部門には業務をERP(統合基幹業務システム)に合わせてもらうように要請した。その上でプロジェクトのリスク管理を徹底するよう心がけた。

業務をERPに合わせる

 幸い過去の失敗の経験から経営層や現場はプロジェクトに協力的で、全社一丸となって取り組めた。プロジェクト管理ではリスクが顕在化する前に未然に防ぐのに注力した。ITベンダーやIT部門などの関係者が一堂に会してプロジェクトのリスクについて話し合う場を設け、問題が生じてプロジェクトが遅延してからではなく遅延前に問題を解決するように努めた。

 その結果、2018年5月に物流システムは無事に稼働した。システムの構築には欧州SAPのERPパッケージS/4HANAを利用した。

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