情報システムの整備で競合に出遅れていたクボタが巻き返しに臨んでいる。日米をはじめ世界中の拠点でERPを共通インフラとして導入するほか、データを駆使して作物の食味改善などアグリ(農業)テックを駆使して付加価値の高い提案を目指す。

吉川 正人 氏
1959年生まれ。1981年4月久保田鉄工(現クボタ)入社。鉄管企画部長、経営企画部長、米クボタトラクターコーポレーション社長、常務執行役員などを経て2018年1月に現職。2019年からは企画本部長とグローバルICT本部長も兼任する。(写真:宮田 昌彦)
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 当社は今年度の売上高予想が約1兆9700億円と2兆円に迫り、海外売上高比率も7割超とグローバルに事業展開している。しかし正直なところ、効率的に農機などの製品を生産し販売できているかという点では疑問がある。

 ICTに関わる課題は3つ。グローバルでのサプライチェーンや販売を支えるシステムを整えるのが第1の課題。ICTを活用して業務を効率化し生産性を向上させるのが第2の課題。ICTにおいて得られるデータを基に新サービスを作るのが第3の課題だ。これらの課題に対応するため事業本部ごとに分かれていたIT部門を統合し、2019年4月にグローバルICT本部を設置した。

出遅れたインフラ整備を急ぐ

 1つめの課題について言うと、クボタはインフラとなるシステムの整備では後れをとっている。欧米などの競合企業は2000年代に、海外の生産拠点や販売拠点を全て結ぶネットワークを構築し、統合されたシステムで生産や販売を管理していると聞く。当社は日本と海外、販売会社と製造会社などのシステムがつながっていない。

 そこで北米と日本を皮切りにグローバルで欧州SAPのS/4HANAを導入する。欧州やタイでは既にSAPのERP(統合基幹業務システム)を使っているが、個別に導入していては意味がない。グローバル共通のS/4HANAに入れ替える。遅くとも2025年までに順次導入することになるだろう。300億~400億円の投資を覚悟している。

 米セールスフォース・ドットコムの営業支援クラウドも営業部門向けに順次導入する。日本の農機販売会社への導入はほぼ完了した。最初に導入した新潟クボタでは、担当者が農家を訪問する回数が大幅に増えるなどの効果が出ている。情報もデジタルに蓄積すれば共有しやすくなる。

 ICTは絶えず進歩する。今は競合企業と比べ周回遅れかもしれないが、これからでも階段を2~3段飛ばすような形で追い付けるはず。むしろ後発は最新技術の恩恵を受けられるだろう。

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