住友電気工業がITをフル活用して事業変革を進めている。IT部門生え抜きのCIOは社内の各部署と連携しながら、IoTやAI、ブロックチェーンなどを経営に活用しようと奮闘する。

橘高 淳 氏
1988年住友電気工業入社、情報システム部に配属。伊丹製作所の事業部システム刷新、経理・人事システム再構築などを担当。2012年情報技術部長、2017年情報システム部長。2019年6月から執行役員。(写真:宮田 昌彦)
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 私は入社以来ずっと情報システム部一筋で歩んできた。その間、一貫して新しい技術の利活用に挑んできた。いま最も注力しているのがIoT(インターネット・オブ・シングズ)分野だ。IoT分野で出遅れたら企業存亡の危機だという思いで手を打ってきた。

 IoT利活用の推進体制として、情報システム部と研究開発部門が共同でIoT研究開発センターを設け、2018年から本格的に活動を始めた。現在は約70人の規模だ。大手自動車メーカーを除けば、これほどの人員をIoTに割くのは珍しいのではないだろうか。

 当社は全世界に多様な製品の生産ラインを持っており、生産ラインへのIoTの利活用では既に、PoC(概念検証)ではなく実践レベルの取り組みを複数推進している。

 例えば電線の生産ラインだ。電線は長いものでは20キロメートルもあり、人間の目視では検査しきれない。そこで、画像認識技術などを活用して、傷の有無などを自動検査する仕組みを開発した。不良品のパターンを機械学習させたAI(人工知能)によって自動検出する。

社内クラウド、AWSより3割安い

 ITインフラとして社内クラウドを2012年に導入し、パブリッククラウドより安いコストで運用することを目指してきた。

 ITは企業にとって競争力の源泉なので、できるだけ自社で開発して運用するのが望ましい。今は1000台程度の仮想マシンを自社で運用し、主要なシステムを全部この上で動かしている。サーバーやストレージは年々値下がりするのでコストを下げられる。

 仮想マシン1台当たりのコストで比較すると、AWS(アマゾン・ウェブ・サービス)よりも割高だ。だが、基幹システムを動かすにはBCP(事業継続計画)を踏まえたバックアップ体制が必須となるので、そのコストも含めればAWSを活用するよりも安く抑えられている。

 社内クラウドのハードウエアは兵庫県と神奈川県の2カ所のデータセンターに置いている。両センターをSDN(ソフトウエア・ディファインド・ネットワーク)でつなぎ、1時間に1回データを同期して、自然災害やシステム障害に備えている。これに近い仕組みをAWSで作った場合と比べてコストを3割程度抑えられているとみている。もちろん適材適所だ。事業規模が小さい海外法人で使うと社内クラウドは割高になるので、パブリッククラウドも併用している。

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