様々な移動サービスをITで組み合わせて利便性を高める─。いまMaaS(モビリティー・アズ・ア・サービス)が国内外で注目を集めている。東大の若手研究者は地方の足であるバスをMaaSに組み込もうと奔走する。

(写真:陶山 勉)
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 トヨタ自動車がソフトバンクと2018年9月にMaaS事業を担う新会社MONET Technologiesを立ち上げて以降、MaaSが急速に注目を集めるようになった。他の自動車メーカーや鉄道会社なども相次いでMaaS関連の取り組みを始めている。

 MaaSを理論面で引っ張る若手研究者として注目を集めるのが、東京大学の生産技術研究所次世代モビリティ研究センターで特任講師を務める伊藤昌毅である。「MaaSの普及に向けて肝となるのはデータ。利用者の役に立つデータが継続的に提供される仕組みが不可欠だ」と伊藤は語る。

 「利用者目線のデータ」に着目する伊藤は単なる研究者ではなく既に成果を出している。際立つのが、2017年3月に国土交通省の検討会の座長として「標準的なバス情報フォーマット」、通称「GTFS-JP」の仕様をまとめ上げたことだ。GTFS-JPはCSVファイルの集合体で、バス停の位置や経路、時刻表、運賃などのデータを含む。表計算ソフトで簡単に作成・編集できる。

 GTFS自体は米グーグルがWebサイトやスマートフォンアプリで提供している「Googleマップ」で使うために作った交通情報のデータ形式であり、事実上の世界標準だ。伊藤はグーグルとも連携し、GTFSと互換性を保ちつつバスの複雑な運行系統など日本の事情に対応できるよう、仕様を拡張したGTFS-JPを策定した。全国のバス事業者やITベンダーなどを飛び回り、GTFS-JPの普及と啓蒙に努めてきた。

 MaaSの構成要素のうち、鉄道の情報は時刻表を発行するJTBパブリッシングなどが鉄道各社から収集しており、Googleマップをはじめとする経路検索サービス向けに有償提供するビジネスが確立している。それに対してバスは、多数の中小事業者が全国に乱立しているため運行情報などを一元的に収集するビジネスが成立しにくい。

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