ネット通販が浸透しカタログ通販離れが進むなか、あえて紙に再注力する。「Webの要素を取り込めば、紙媒体には無限の可能性がある」とみる。目指すのは1人ひとりの嗜好に合わせた究極の「個人向けカタログ」だ。

(写真:陶山 勉)
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 EC(電子商取引)業界の若きエースが老舗カタログ通販会社に入社――。石川森生の転職が業界の話題となったのは2016年のことだ。

 20代でデジタルマーケターとして名をはせ、2014年にはEC会社の社長を務めた石川が突如、アナログなカタログ業界に飛び込んだ。「ディノス・セシールのカタログ事業に底知れないポテンシャルを感じた」と石川は入社の理由を語る。「紙媒体にWebのテクノロジーを取り入れることができれば、カタログ事業は飛躍的に向上する」と自信をみせる。

 米アマゾン・ドット・コムなどネット通販が急成長する中、カタログ通販は縮小傾向にある。調査会社の富士経済によると国内のネット通販市場は2018年に8兆3000億円の見込みで10年で2.9倍に増えた一方、カタログ通販は1兆2000億円と同12%縮んだ。カタログ通販各社は自社のECサイトを擁するが、顧客層が高齢化するなかでネットへの誘導が思うように進んでいないのが現状だ。

 石川はEC事業の責任者として2016年にディノス・セシールに招かれた。会社はカタログ通販の落ち込みをECで補う狙いだったが、石川の考えは違った。「カタログによる購買率の高さは圧倒的。これを単純にECに代替しようとすると売り上げを一気に失うことは目に見えていた」と語る。同業の大手カタログ通販会社がカタログの部数を減らす中、ディノス・セシールは石川の意見に基づき、紙媒体に再注力する方向へ舵(かじ)を切った。

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