「東京ラブストーリー」などでトレンディードラマというジャンルを切り拓いた。今はデジタル関連事業をけん引し、米ネットフリックスとの提携をとりまとめた。放送の枠を飛び出し、インターネットを中心に新たな収益源の確立に奔走する。

 「黒船」と呼ばれていた米ネットフリックスが日本に上陸した2015年。放送業界を中心に警戒感が高まるなか、いち早く提携に踏み切ったのがフジテレビだった。その交渉をとりまとめたのが常務の大多亮だ。社内に反対論はあったが「デジタルの流れは止められない」と押し切った。

(写真:稲垣 純也)
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 大多は今、総合事業統括担当として将来の収益源になり得る新事業の育成を急いでいる。2016年に動画配信サービス「FOD(フジテレビオンデマンド)」を刷新し、月888円で人気ドラマやバラエティーを見放題にした。アプリのダウンロード数は1000万件を突破し、すでに黒字転換を果たしている。

 視聴率で激しく競り合うライバルとも手を組む。2015年に在京民放5社が共同で始めた「TVer(ティーバー)」はインターネットで番組を無料配信するサービス。テレビで放送してから1週間ほど、パソコンやスマートフォンを通じて番組を無料で見られる。TVerもスマホアプリのダウンロード数が累計1500万件を超え、順調に成長している。

 グローバル展開に向けた布石も打つ。2018年6月にドイツの放送大手ZDF子会社と連続ドラマの国際共同制作を発表した。世界展開する動画配信サービスを通じて世界中で見られるようにする計画だ。

 制作するドラマは欧州サッカーの移籍市場を舞台に、巨額契約の裏に潜む暗闘をあぶりだす内容だ。2019年の完成を見込む。

 日本と欧州の放送局が組み、グローバル展開を見据えて連続ドラマを手掛けるのは史上初という。「これまでのように国内で人気のコンテンツを海外の放送局などに販売して終わりではなく、自ら胴元になることが大事だ。これが世界に出ていく王道だ」。大多はこう言い切る。

大多 亮(おおた・とおる)氏
1981年早稲田大学教育学部を卒業し、フジテレビジョン入社。ドラマ制作を長く手掛け、2007年に執行役員編成制作局ドラマ制作担当局長。2009年に執行役員デジタルコンテンツ局長、2012年に常務取締役編成制作、美術制作担当。2018年6月から現職。60歳。(写真:稲垣 純也)
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