RPAが日本企業の間接業務改善に向くといち早く目を付け、普及に努めた。2018年10月、コンサルタントからBPO大手の社長に転身した。RPAの伝道師として、デジタル技術を駆使した抜本的な業務改革に挑む。

写真:陶山 勉
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 手順が決まったパソコン作業をソフトウエアのロボットで自動化するRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)。人手不足などを背景に働き方改革を進める企業が増えたこともあり注目が集まるデジタル技術だ。国内でRPAがほとんど知られていなかった頃にいち早く着目し、国内で普及を進めてきた1人が、ジェンパクト日本法人社長の田中淳一である。

 現在も普及活動に携わる傍ら、RPAをはじめとするデジタル技術を極限まで使い込んで業務を改革する「究極の働き方改革」に挑んでいる。

 田中がRPAを初めて知ったのは2015年夏。当時はKPMGコンサルティングでBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)などの導入支援サービスを立ち上げていた。企業の間接業務を効率化できる技術を探していたところ、米国企業で導入が進むRPAに目が留まった。

 詳しく調べていくうちに「オフィス現場の改善活動にぴったりの技術だ。日本企業に広く受け入れられるに違いない」と確信を得るようになる。「付加価値の高い新しいビジネスを創り出していかないと日本企業の未来はない。企業が新規ビジネスを創出するには、既存業務の生産性を高めることが不可欠。そこにRPAはきっと役立つ。国内に広く普及させよう」と思い立つ。

 すでにRPAツールを手掛けていた現・RPAテクノロジーズなど複数の企業へ呼びかけ、2016年7月、国内でRPAを広める普及団体の日本RPA協会を共同で設けた。

 RPAは当時、日本で無名の技術だった。普及活動はどんなものか理解してもらうところから始まった。企業関係者にノートパソコン上でRPAツールを見せると「Pepperみたいなロボットを想像していたのに、これのどこがロボットなのか」との声が上がった。「工場のロボットは組み立て作業などを自動化します。ですがこのロボットはオフィスワークのパソコン作業を自動化します。同じ自動化の手段とみなして、工場のロボットになぞらえてこれもロボットと呼んでいるんです」と丁寧に説明していった。

 導入支援でも様々な課題に直面した。当初、田中は現場のパソコン作業をそのまま自動化する方針で適用を進めた。しかし現場には「パソコン作業の合間に担当者が作業内容を確認する」といった流れが多く、単純にRPAだけで自動化できないと分かった。「自動化できる作業と確認作業をそれぞれまとめたうえで、RPAは自動化できる部分に適用する」といった対策を講じた。

 ほかにも「同じ業務でも担当者ごとに処理手順が違うケースがある。その場合、手順を標準化してからRPAを適用する」「業務の標準化が進んだ現場でも、詳しく調べればRPAを適用できる余地は見つかる」などいち早くノウハウをつかみ、導入実績を積み上げた。

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