ソフトバンクとトヨタ自動車の電撃提携から1年、MaaSのプラットフォーム作りを主導する。スマートな仕事に思えるが、実態は地方行脚や規制緩和の働きかけなど地味な作業が中心だ。日本の課題解決と、世界に通じる基盤作りという大義を持ち、日の丸連合の形成に挑む。

(聞き手=大和田 尚孝、玉置 亮太)

宮川 潤一(みやかわ・じゅんいち)氏
1987年、京都花園大学を卒業。ソフトバンク取締役専務執行役員などを経て、2014年11月に米スプリントのテクニカル・チーフ・オペレーティング・オフィサーに就任。2018年4月にソフトバンク副社長執行役員(現職)。2019年1月、MONET Technologiesの事業開始に伴い同社社長兼最高経営責任者(CEO)に就任。1965年12月生まれの53歳。(写真:村田 和聡)
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ソフトバンクの孫正義会長とトヨタ自動車の豊田章男社長の共同会見から1年たちました。進捗はいかがですか。

 順調ですが、MaaS(モビリティー・アズ・ア・サービス)のプラットフォーム作りがこんなに深く難しいのかと改めて感じています。例えば自治体との連携は当初から想定していた事業の1つですが、いざ地方に出向くと悩みが少しずつ違っていると分かりました。

 住民が1時間かけて病院に通うケースはざら。食料の確保(買い物)が人生をかけたメインテーマという地域もあるほどです。過疎化が引き起こす問題は東京にいても分からないと痛感しました。問題を解決するには行政の支援が不可欠です。道路行政も見直す時期に来ていると考えており、提案書を作っているところです。

政府に規制緩和などを提案しているのですか。

 はい、MaaSの実証実験について様々な提案をしています。特に省庁をまたがずに意思決定できるタイプの実証実験については、比較的柔軟に対応してもらっていますね。

 例えば(スマートフォンで予約する相乗りの)オンデマンドバスを、規制緩和の特区内で走らせる実験をしている自治体がありました。ところが利用者は特区の外にあるショッピングセンターに行きたいケースもあります。「もっと大きなエリアで議論してほしい」と所管の省庁に話をしたら、すぐ交渉に応じてくれました。

鉄道を借りて運営する検討も

開発中のMaaSを提供する候補地は決まっていますか。

 全国が対象ですが、特に北海道は有力ですね。赤字の鉄道路線を廃線にする議論が進んでいますが、廃線後に困ることになる人々の支援に関する議論は十分ではありません。

 例えば設備を持たずにインフラサービスを提供するMVNO(仮想移動体通信事業者)のように我々が鉄道を借りて、自動車を組み合わせたサービスを提供すればどうなるのか。様々なケースを想定して、今まさに細かく検討しているところです。

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