ネット予約の浸透に民泊の台頭と、旅行業界もデジタル化の波に揺れる。国内最大手のJTBは旅行会社を脱する覚悟で、事業変革に1000億円を投じる。デジタル活用に本腰を入れ、人や組織の「交流」を創造する会社への転身に挑む。

聞き手=編集長 大和田 尚孝

ITの進化により、旅行業界を取り巻く環境が激変しています。

 ええ。IT活用は待ったなしの経営課題です。当社はきっぷなど(単体商品)の代理販売からパッケージ商品の企画・販売に舵(かじ)を切った第2の創業期に続き、この4月に「第3の創業」と称して次の100年に向けた経営改革に踏み切りました。背景にはITにかかわる3つの流れがあります。

高橋 広行(たかはし・ひろゆき)氏
1957年生まれ。1979年関西学院大学法学部卒、日本交通公社(現JTB)入社。広島支店長、執行役員旅行マーケティング戦略部長、取締役旅行事業統括、JTB西日本社長などを経て2014年6月から現職。(写真:村田 和聡)
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 まずデジタル化です。インターネットが旅行商品の販売チャネルとして定着したうえ、最近はロボティクスやAI(人工知能)、IoT(インターネット・オブ・シングズ)の技術も普及しています。そうした進化に合わせてビジネスも変える必要があります。

 次はシェアリングエコノミーです。旅行業界にとって住宅宿泊事業法(民泊新法)が6月に施行された影響は大きい。当社を含む既存の事業者にはシェアリングエコノミーは脅威です。でも民泊は既に市民権を得たと考えています。今後はむしろシェアリングエコノミーを当社のビジネスにどう取り込んでいくかが重要です。

 最後は顧客の力の台頭です。SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の普及によって顧客の情報発信力が強くなりました。訪日外国人が発する情報は、瞬く間にSNSで浸透します。顧客の共感を得ることなくして、ビジネスの発展はあり得ません。

 世界の旅行会社の勢力図も劇的に変わっています。米エクスペディアなどのOTA(オンライン旅行会社)が世界の旅行会社の上位3位を占め、民泊事業の米エアビーアンドビーも世界7位へと台頭しています。

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