キャッシュレス決済専用の新型店や掃除・洗浄ロボなどIT武装を急ぐ。間接業務や重労働を極限まで減らして、サービス向上に生かすのが狙いだ。「客を大切にするにはまず従業員から」との思いでAI時代の働き方改革に臨む。

聞き手=編集長 大和田 尚孝

完全キャッシュレスの新業態「GATHERING TABLE PANTRY」を開業して約1年、手応えはどうですか。

 レジ締めなどを含めた管理と事務の時間を1日のうち5.6%まで縮小できました。(新業態と似た)ロイヤルガーデンカフェだと19%です。

 私は入社して36年たちますが、大学時代にロイヤルホストでアルバイトをしていたきっかけで当社に入社しました。昔は現場で働いていたのですが、そのころレジ締めにかかっていた時間は40分です。そして36年経った今、同じように40分かかっています。

36年間、進化がないと。

 ええ。こんなおかしなことはない。そこに怠慢があったと思います。

黒須 康宏(くろす・やすひろ)氏
1958年、静岡県生まれ。82年名城大学卒業。大学時代にロイヤルホストのアルバイトを経験したことがきっかけで、同年ロイヤル(現ロイヤルホールディングス)入社。11年ロイヤルホスト副社長、同年ロイヤルホールディングス取締役。2016年3月より現職。(写真:村田 和聡)

「現金お断り」は客の減少につながる恐れがあります。迷いはなかったのですか。

 完全キャッシュレスにすることが狙いではなく、あくまでITを活用して業務効率化を追求する店舗という位置付けです。「現金お断り」が注目されがちですが、ほかにも様々なチャレンジをしています。タブレットやiPhone、Apple Watchを使った注文や決済などです。

 キッチンでは仕込みなどを極力少なくする工夫があります。ITを積極的に活用して、間接業務を減らすことで、お客様へのサービスやホスピタリティを上げる挑戦です。

正直に言うと迷った

 とはいえ、正直に言うと迷いましたね。現金を多少は残した方がいいのではないかと。ただ、我々にとってGATHERING TABLE PANTRY(ギャザリングテーブルパントリー)はR&D(研究開発)という位置付けのお店でしたので、キャッシュレスでやってみようと踏み切りました。

 売り上げとしてはまだ満足できるレベルではありません。でも売り上げをしっかり取って、それで社員の士気を上げていくのが目的ではない。R&D拠点としてしっかり機能するかどうか、そこが大事なところです。直接お客様や従業員にかかわらない部分をいかに縮小できるか。その意味では、まずは効果が出ていると思います。

効果が見えた施策は他業態にも広げていきますか。

 はい。10月2日からは「天丼てんや」の新業態で完全キャッシュレスにする取り組みを始めました。来店客の9割近くを外国人が占める浅草雷門店で始めます。店名も「大江戸 てんや」にリニューアルしました。そのほかにも掃除ロボットを一部のロイヤルホストに展開するなど少しずつ広げています。

ロボットの導入は2020年までの中期経営計画に盛り込んでいますね。

 ええ、ロボット掃除機で間接的な仕事の時間を削減すると同時に、重労働を減らすことも考えました。

 例えばレストランなら食器洗浄です。決して綺麗な仕事ではありませんし、大量の食器となると重さもあります。高熱で処理するのでとても熱く、夏は特に大変。従業員の負荷を減らしながら、洗浄品質を落とさないようにするために食洗ロボットの開発・運用の実験を続けています。

 我々はレストラン以外の業態も手掛けており、レストランで成功した事例をほかに応用することができます。ロイヤルホストで導入した、床を清掃するロボット掃除機をホテルに入れられないか。レストランの食洗機を機内食の製造工場に入れられないか、といった具合です。ロボットなどを使って、人間の作業を減らす取り組みをあらゆる業態で考えていきたいです。

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