カメラ700台に決済機能付き買い物カートと、店舗のIT武装に突き進む。率いるのはシステム子会社から転じた異色の社長だ。ITを強みにデータを駆使して効率と成長を追求、ECと競合に挑む。

聞き手=編集長 大和田 尚孝

700台のカメラを店舗に設置するなどITを積極活用していますね。

 2月に「スーパーセンタートライアル」を福岡市内に開設しました。ITで顧客の購買体験を高めることを目的にした新規店舗です。当社が独自開発したネットワークカメラを使い、顧客の導線を動画で分析して商品の陳列方法や品揃えの改善に役立てています。商品棚には静止画を撮影するカメラも設置しており、顧客が手に取ったり戻したりした商品を分析できます。

 レジの待ち時間をなくすために、タブレット端末を取り付けた買い物用カートも導入しました。タブレットには決済機能を搭載しており、レジに並ばなくても商品のバーコードを読み取ってセルフサービスで決済できます。

石橋 亮太(いしばし・りょうた)氏
1999年1月、トライアルグループのシステム子会社ティー・アール・イー入社、同年6月トライアルカンパニーへ転籍。GSCアカウンティングシステム部長、執行役員商品本部TCM推進部長、取締役副社長兼商品本部戦略本部長などを経て2018年6月より現職。トライアルホールディングス取締役を兼務。(写真:村田 和聡)

購入商品数が2点増えた

売り上げや評判はいかがですか。

 立地の問題などもあり、正直に言って営業実績はそれほど良くありません。ただ、いろいろな可能性が見えてきました。例えばタブレット付きカートを使う顧客は使わない客よりも購入商品数が平均2点増えています。タブレット付きカートを使う人は来店客の35~40%ほどに達しています。

 顧客の行動パターンも見えてきました。例えば新規店舗は入り口から見て左半分が生鮮品のエリア、真ん中は飲料や菓子など箱詰めした商品を山積みしたエリア、右側は生活消耗品や衣料品のエリアです。

 タブレット付きカートの利用客がどう動くかというと、左の生鮮品の方に行くケースが56%、真っすぐ突っ切るケースが37%でした。残る7%は目的買いを先に済ませようという顧客です。ただ、面白いことに目的買い顧客の7割以上が生鮮コーナーに戻ってくるんですよ。こうした動きが分かれば、販促や商品陳列など様々な仮説と検証が可能です。

新規店舗のシステムを他店舗に拡大する計画は。

 8月末に佐賀県の店舗に広げました。今後1年半から2年かけて、福岡県と佐賀県の全店に広げようと思っています。

 システムを使うと店ごとの特徴を出しやすくなります。ペットフードなど、商品によっては開店1年目に立ち上がりにくいカテゴリーがあるんですよ。新装開店から2年、3年と経過して品ぞろえを顧客に認識してもらうにつれ、店内のレイアウトや販促方法を変えていく。データを基にお店を育てていけるようになります。

客の行動パターンや、手に取ったが購入しなかった商品の情報は小売業にとって集めるのが難しかった念願のデータではないですか。

 そうですね。小売業は商品カテゴリーごとに売り場作りの担当者が違っていて、店舗全体を見渡した売り場作りが難しかった面もあります。結果として担当者の属人的な経験や声の大きな人の意見を基に仮説を立てることになりがちでした。

 ITを使ってデータを集めることで、仮説やアイデアを出すための判断材料が手に入るようになりました。我々もまだ使い切れているわけではありませんが、大きな可能性を感じています。

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