国内SI最大手の新社長が就任後初の単独取材に応じ、2021年度までに海外事業の利益率を7%に引き上げると述べた。利益改善と売り上げ増を両立させる要諦は「片隅」にあるとみる。

聞き手=編集長 大和田 尚孝

NTTデータの課題は。

 「成長する」「稼ぐ」「変わる」そして「シナジー」という4つの力を高めていかなければと考えています。

 まず、世界各国での存在感を高めて「成長」につなげなければなりません。2025年ごろに全世界のITサービス業界でトップ5に入る目標を立てています。売上高で言えば、今の2兆円程度から2兆5000億円、3兆円に伸ばさなければならない。それには世界主要国の各市場でトップ10入りが必要です。

 各国でシェアを2%ぐらい取れば、だいたいトップ10に入ります。そうすれば大手企業の経営層に認知され、信頼関係を築きやすくなります。

 例えば米国では米デルのITサービス部門を買収して事業を拡大しました。それでもシェアはまだ1%台です。

海外事業は買収で急拡大したものの利益はあまり出ていません。

 「稼ぐ」を課題に挙げたのはそのためです。国内事業は利益率が10%程度まで高まっていますが、海外はまだ5%前後。これを7%、できれば10%の水準まで持って行きたい。

就任中に売上高3兆円、海外利益率10%を達成しますか。

 いえいえ(笑)。3兆円というのは2025年ごろの目標です。海外の利益率については、これから策定する2019年度からの3カ年の中期経営計画でまず7%を達成したい。2025年に目標を達成できるように、会社を(成長の)軌道に乗せるのが私の最大のミッションと思っています。

本間 洋(ほんま・よう)氏
1980年東北大学経済学部卒、日本電信電話公社(現NTT)入社。1988年NTTデータ通信(現NTTデータ)設立後に同社に転じ、主に金融システム事業に携わる。広報部長や秘書室長を経て2010年に流通・サービス事業本部長。2014年取締役。2016年副社長。2018年6月から現職。山形県生まれ。62歳。(写真:村田 和聡)

M&Aでアプリ開発力を高める

(写真提供:NTTデータ)
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 海外事業はITインフラの維持管理などを中心とする案件が多く、その領域では非常に強い。ですが、アプリケーションを作る部分を任せてもらう力が十分ではありません。アプリは顧客企業にとってのビジネスモデル、あるいは社会の仕組みそのものです。ここを担えるように「変わる」。それによって稼ぐ力も高まるはずです。海外でのM&A(合併・買収)はアプリ開発の能力を補完する案件を考えます。

海外企業はIT人材を多く抱え内製が中心ですから、アプリを任せてもらうのは難しいのでは。

 そうとは限りません。IT人材を多数抱える企業とも良い関係を築けるはずです。国内の取り組みですが、例えばリクルートは社内に500~600人ほどのIT人材を持ち内製を進めています。そこに協力会社を含む当社の関係者400人程度が加わり一緒に取り組んでいます。我々の強みを理解してもらったうえで構築できた関係です。

 いわゆるデジタルの分野も顧客からアプリを任せてもらう好機です。新分野に海外の顧客と一緒に取り組み、関係構築のきっかけにしたいです。

デジタルの有望分野はありますか。

 例えば顧客企業とその顧客である消費者との接点を変える、いわゆる顧客接点の領域です。欧州などでスマートフォンを活用したオムニチャネルの構築実績があります。米国ではデルのサービス部門がヘルスケア分野でかなりの規模の事業をしています。各拠点の連携を強くして世界規模で「シナジー」を出していきます。

具体策は。

 世界の拠点が連携しながら高度なサービスを提供していく重要顧客として、グローバルアカウントを15社ほど決めました。年間50億円以上(の売り上げを得ている)顧客が世界で65社ぐらいあります。その中で、BMWなど世界中に拠点を持って事業を展開している企業を選びました。世界での生産管理や販売管理などをグローバルのメンバーで重点的に支えていきます。

フットワークの軽いベンチャー企業にデジタル分野で勝てますか。

 全て自前主義でやろうとは思っていません。ここ2~3年はベンチャー企業と積極的に協業していますし、出資する案件も増えました。強みを持つところと組みながら臨みます。

 顧客のビジネスモデルを支える中核のアプリを手掛けてきた実績が、実はデジタルでも強みになります。例えばEC(電子商取引)のオムニチャネルの仕組みを作る際は、生産管理や倉庫、物流などのシステムにも手を入れます。リアルの店舗を見直して、ネットと連携しながら高度なサービスを提供できるようにしなければなりません。新しいアプリの構築とセットで既存のシステムを改修し、全体で最適化するのが真のデジタル化だと思っています。そこに我々のチャンスがある。

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