デジタルトランスフォーメーション(DX)はバズワードではない。DXの本質は変革。変革なき企業は生き残れない。先進事例を徹底研究し、DX成功の要諦を探る。

 来店客の減少に歯止めるかけるため、デジタル活用を進めて成果を上げている伊予銀行。住宅設備大手のLIXILは、ハイテクショールームで成約率と業務効率を高めた。

タブレットで窓口改革、狙うは手続き簡単日本一
伊予銀行

 「銀行がお客さまに出向く。将来的にはそうした世界観を実現できるはずだ。デジタル技術を徹底的に活用して、店舗や業務を抜本的に変えていく」。愛媛県を地盤とする四国最大手の地方銀行、伊予銀行の石川秀典総合企画部課長はDX推進に意欲を見せる。

総合企画部の石川秀典課長(左)とシステム部の井上浩一課長(右)
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 少子高齢化の進行やネットサービスの隆盛で、伊予銀は「来店客が10年間で4割減った」(石川課長)。業務フローの見直しによるコスト削減やインターネットバンキングを使った事業拡大などを各部門が個別に進めてきたが、抜本的な変革には組織横断でデジタル活用に取り組むべきだと判断した。

 デジタル技術を活用して事務作業を徹底的に減らし、顧客の相談への応対や提案など人にしかできない業務の時間を増やす――。これが地域に根差した銀行としての価値向上を狙う伊予銀のDXだ。2017年秋から複数のDX関連プロジェクトを始め、変革の連続で2025年ごろまでに事務作業を半減する目標を掲げる。

 その第1弾として、新規口座開設や住所変更など店舗での26種類の主要手続きをこなせるタブレット「Agent(エージェント)」を開発。2019年2月から本格導入し、2020年3月までに約150の全店舗に配備する。Agentは行員の説明を受けながら顧客が自ら操作する端末であり、チャット形式で手続きを進められる。新しく口座を開く際は顧客がチャットに従って選択肢を選んだり免許証を撮影したりするだけでよい。書類の記入や押印は不要だ。

図 タブレットで接客する伊予銀行の店舗カウンター
窓口改革、主要手続きを対話型で
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店舗にタブレットを先行導入した松山北支店の外観と店内
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 2018年10月に3種類の手続きを盛り込んだAgentを3店舗に先行導入したところ、例えば新規口座開設に関する業務時間が3分の1に減った。「45分ほどかかっていた手続きが15分ほどで終わった。書類記入の手間がないので顧客にもメリットがある」(石川課長)。対象とする手続きを広げ、2020年度末時点で150人相当の事務作業をAgentで削減する計画だ。

 単にタブレットを導入しただけで効率化できたわけではない。口座開設プロセスから印鑑の登録を省いたり入金ゼロでの開設を認めたりするなど、「業務プロセスの見直しを先行させたからこそ大きな効果を得られた」(同)。

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