生産性の向上はソフトウエア開発における永遠の課題と言える。ソフトウエア分野では課題の解決に向けて新製品が次々と現れ、技術者の期待を集めた。だが多くは期待先行、高すぎる理想と現実とのギャップに直面した。

 改元を迎える2019年に「CASE」と聞けば、「コネクテッド、自動運転、シェアリング、電気自動車」の頭文字から成る自動車産業の注目テーマを思い浮かべるかもしれない。

 しかし平成初期の1990年代はソフトウエア開発の効率化と自動化を目指したCASE(コンピューター支援によるソフトウエア開発)ツールが流行した。CASEツールとはプログラムの設計支援やコードの自動生成といった機能を持つソフトウエア開発ツールだ。特にコードの自動生成機能が開発者の期待を集めた。にもかかわらず、ソフト開発のCASEはなぜ死語になったのか。

ソフトウエアの平成史(CASEツール)
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 最大の理由は「CASEツールで自動生成したコードは極めて読みにくく、人手による改修が事実上不可能だった」。90年代にCASEツールを導入した経験を持つアイ・ティ・アールの甲元宏明プリンシパル・アナリストはこう証言する。導入現場は理想と現実のかい離に悩まされたという。高価なこともあって、結局は普及しなかった。

「全く性能が出なかった」

 2000年前後に注目を集めたオブジェクト指向データベース(OODB)も、理想と現実のギャップが大きかったソフトウエアだ。OODBは「現実世界の物事を忠実にシステム化する」というオブジェクト指向の考え方を取り入れたデータベースソフトである。人間にも理解しやすく、システムの保守性を高められるとされた。先行して普及したリレーショナルデータベース(RDB)に対抗する形で登場した。

ソフトウエアの平成史(オブジェクト指向データベース)
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 しかし理想とは裏腹に、登場したばかりの製品は課題を抱えていたという。業務システムでOODBの導入に携わった、情報システム総研の児玉公信社長は「全く性能が出ないうえにバグも多かった」と当時を振り返る。

 やがてRDBが勝利し、製品も市場から事実上消えた。「RDB開発元は多数の利用者を獲得して性能向上に多額の投資を重ねた。OODBはオブジェクト指向対応を訴求したものの、理想を実現するための技術や性能が伴わなかった」(児玉社長)。

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