PC-9800シリーズは7割超のシェアを誇り、PDAの液晶と操作性に人々は魅了された。システムのTCO(総所有コスト)削減の切り札と期待された「NetPC」や「NC」は、ブームの終焉とともに去った。数々の名ハードの設計思想はスマートフォンなどに受け継がれている。

 ピポッ――。特徴的な起動音が記憶に残るNECのパソコンPC-9800シリーズ。マニア向け製品だったパソコンが企業の必需品へと変わっていった平成の初期を代表する製品と言っても過言ではないだろう。

 「パソコンは便利なものだと日本中に知らしめた」。NECで販売責任者を務めた富田克一氏は98シリーズが社会に与えた影響についてこう話す。

PC-9801は2009年に情報処理学会が定める「情報処理遺産」に認定された
(出所:NEC)
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当時NECでパーソナルコンピュータ販売推進本部長を務めた富田克一氏
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 NECが98シリーズの初代機を発売したのは1982年のことだ。85年に発売した「PC-9801VM」のヒットによって、国内パソコン市場のトップの座を確立。一時は7割超のシェアを誇ったとされ、2003年の製造終了までの累計出荷台数は約2000万台に達した。

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当時の開発風景(1986年頃の米沢日本電気)
(出所:NEC)

 日本における「IT進化の一翼を担った」(富田氏)98シリーズだったが、独自アーキテクチャーがネックとなり国際標準への対応が遅れた。低価格競争の影響もあり、03年に製造を終えた。

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