富士フイルムホールディングス(HD)がデジタルトランスフォーメーション(DX)に挑んでいる。体制整備、新事業、業務改革という3つの側面から取り組みを見ていく。今回は新事業を取り上げる。

 2度目の業態転換を支える新事業を創り出す──。富士フイルムHDが進めるDX戦略の成果が表れ始めた。富士フイルムが2018年4月に始めたクラウドサービス「ひびみっけ」だ。老朽化した橋やトンネルなどのインフラに生じた幅0.1ミリメートル以上のひび割れをAI(人工知能)で見分け、CAD(コンピューターによる設計)データの作成といった作業を効率化できる。数百社が導入済みだ。

新事業
自社の強みとAIを融合

 老朽インフラを点検し、補修すべき箇所を素早く特定する技術に対するニーズは高い。戦後から高度成長期にかけて造られた社会インフラの老朽化が深刻な問題となっているからだ。

 2012年には山梨県の中央自動車道笹子トンネルで天井板の落下事故が発生。国土交通省は橋やトンネルなどに関して、5年に1回の近接目視による点検を義務付けた。

 だが、橋だけでも国内に70万カ所以上あるとされる。トンネルなどを含む老朽化したインフラの維持管理や更新に、30年間で最大200兆円弱もの費用がかかるとの試算もある。

 しかも技術者は減っており、「AIによる効率化のニーズは高い」と富士フイルムの牧野純一産業機材事業部統括マネージャーは期待する。

写真を基にCADデータ生成

 ひびみっけは医療向けで培ったAI技術を横展開することで生まれた。X線画像データから血管を見分ける技術をひび割れの検知に応用した。

 点検の流れはこうだ。現場担当者がひび割れに沿ってチョークで目印を付けて、デジカメで撮影。クラウドに写真をアップロードする。AIは写真を合成してひび割れを検出し、CADソフトで扱えるデータを生成する。

現場担当者がデジカメなどで橋の様子を撮影する
写真提供:富士フイルムホールディングス
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