富士フイルムホールディングスがデジタルトランスフォーメーション(DX)に挑んでいる。AI(人工知能)などのデジタル技術を武器に、新事業の創出や業務改革を狙う。日本を代表する製造業のDX戦略に迫る。

 2018年12月17日午後、東京・丸の内のシェアオフィス「WeWork」。AI(人工知能)の基盤技術を開発する、理化学研究所革新知能統合研究センター(理研AIP)の松本裕治知識獲得チームリーダは数人の技術者と議論していた。松本氏は日本における自然言語処理の第一人者で、奈良先端科学技術大学院大学の教授も務めている。

 松本氏と意見を交わしていたのは富士フイルムのAI技術者たちだ。富士フイルムホールディングス(HD)と理研AIPは2018年7月に連携し、次世代医療に役立つAIの研究開発を共同で進めている。論文などのテキストデータと画像を組み合わせてAIで分析し、新たな知見を得る狙いだ。

 富士フイルムの李元中画像技術センター兼インフォマティクス研究所主席研究員は「AIの論文は山ほどあり、どの技術を試すべきかを判断するのが難しい。松本氏から色々なアドバイスを受けられるようになった」と話す。

次世代AIの研究開発について議論する富士フイルムの李元中主席研究員(左端)と、理研AIP知識獲得チームリーダの松本裕治氏(右から2人目)ら。
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「2度目の業態転換」に不可欠

 富士フイルムHDは全社一丸となってデジタルトランスフォーメーション(DX)に挑んでいる。「2度目の業態転換にはDXが不可欠」と捉えているからだ。理研AIPとの取り組みはその一環である。なぜDXなのかの前に、業態転換を進める理由を説明しよう。

 同社が1度目の業態転換に迫られたのは2000年ごろ。デジタルカメラの急速な普及により、本業だった写真フィルムの世界需要は2000年代半ばに年2~3割のペースで縮んだ。古森重隆会長兼CEO(最高経営責任者)は2000年の社長就任時に「コアビジネスの市場がほぼ消滅する危機に直面した」と振り返る。

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