カブドットコム証券の現場改革を支援する「TMS塾」の真価はメンバーの卒塾後に現れる。塾で学んだ内容を身に付けたメンバーが自部門でどんな業務改善を進めたのか。卒塾生で構成する「KMS-タスクフォース」の事例とともに紹介する。

 TMS塾を機に、継続的に進化している部門の事例を紹介します。デジタルとアナログの融合や、詳細な作業ログの可視化にチャレンジし続けている2部門の活動です。

 まずシステムリスク管理室です。この部門はこれまでのTMS塾に必ず部員を送り出しています。1期に参加した石川陽一室長が参加して以来、改善を進めています。

 石川さんはアナログのツールによる作業の可視化や、人が苦労している仕事を自動化させることを塾で学び、現場で日々実践していました。その姿がシステムリスク管理室の部下に良い刺激になっています。石川さんの行動を支えている矢野喬一さんと伊藤公樹さんもとても頼もしい存在です。質実剛健の矢野さん、明るく行動力のある伊藤さんのコンビネーションがチーム力を高めています。

 システムリスク管理室が新たに業務を改善するときは、アナログ(ホワイトボードや付箋)で試し、良い点や改善すべき点、苦労する点などを無意識に整理します。その後にデジタル化してリアルタイムに仕事の可視化や評価をできるようにします。こうしたスキルをチームで磨いていきました。

 今では作業の実績記録とデータによる分析をできるようになりました。日々の作業やプロセスの検証だけでなく、個人が自分自身を自律的にマネジメントするまでに成長しています。

 具体的には、タイムトラッキングツールの「Toggl」で作業実績を簡単に記録しています。その実データを業務フローにマッピングし、各作業の実施状況を可視化しています。詳細な作業実績が記録されているので、それを様々な角度から分析しています。

7分類で作業の時間を把握・分析

 システムリスク管理室の活動を石川さんが次のようにまとめています。

 システムリスク管理室から、TMS塾の第2期に矢野喬一と伊藤公樹が参加した後、第3期に中村健太が参加し、室員全員が塾経験者になりました。すると、三井さんから与えられる課題のハードルが上がりました。「タスクを可視化するToDoリストをチームで共有するのは第一歩。それだけではタスクの実行にかかった時間が分からない。タスクを実行した結果、アウトプットの量と質が納得できるレベルかどうか、そこまで可視化すべきだ」と三井さんから指摘されました。

 私は過去の塾の教材を振り返り、「5分表」に改めて着目しました。5分表は1日の活動を5分単位で記録・可視化して、改善に役立てるトレーニングです。

 今やスマホを使えば、自分が訪れた場所や時刻が自動で記録され、どんなアプリをいつ使ったかも分かります。マイクロソフトの「Office 365」で「MyAnalytics」の機能を使えば、パソコンでの作業が記録されます。これらと同様の考え方で、チームの活動を半自動的に記録して分析しようと思ったのです。

 作業の記録にはTogglを使いました。操作方法は簡単で、パソコンのWebブラウザーや会社貸与のiPhoneから、作業の開始と終了時にボタンを押すだけです。するとその作業にかかった時間などのデータを記録できます。TogglのデータはBIツールの「Tableau」に取り込み、様々な角度から検証しました。

 導入して1カ月間は作業内容を分類していなかったのですが、2カ月目からは作業を「INPUT」「OUTPUT」「会議」「確認」「共有」「単純作業」「頭脳労働」の7種類に分けました。種別を細かくし過ぎないように気を付けました。大切なのは、「個人が自分の作業時間を振り返る材料にできるかどうか」と「メンバー全員が一体感を持って活動できるかどうか」だと考えました。

図 全員の作業実績データを取得し、様々な角度で分析する
1カ月の作業の内容を可視化(画像提供:カブドットコム証券)
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 4カ月間継続したところ、少しずつですが成果が見えてきました。例えば月間の活動推移で単純作業の時間が減りました。2019年1月は208時間(全体の26パーセント)だったのが、3月には160時間(同18パーセント)に減り、逆にOUTPUTが154時間から245時間(同19パーセントから28パーセント)に増えました。実績データの可視化により、定型業務や付加価値の低い仕事にかかる時間を減らせたと実感しています。

 一方、共有時間があまりに取れていないという事実も見えてきました。リーダーである私としては、共有時間の確保に注力したいと考えています。

 一連の活動は小さなチーム内の業務改善ですが、デジタル技術を駆使した働き方改革に踏み出せたと自負しております。

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