従来の企業システムへの投資と異なり、デジタル変革投資は直接投資だ。売り上げや利益の増加、顧客の評価などでその成果を測定できる。デジタル変更の実行段階ごとに関門を設け、投資判断することも重要になる。

 この連載は企業に価値をもたらすデジタル変革(DX:デジタルトランスフォーメーション)を組織としてどのように実践すべきかを、事例を交えつつ説明している。デジタル変革はAI(人工知能)やIoT(インターネット・オブ・シングズ)をはじめとするデジタル技術を活用して、新たな事業やサービスの創出、顧客満足度の向上などを狙う取り組みを指す。

 デジタル変革への投資は、製品・サービスや業務プロセスといった新たな事業価値を生み出すことが目的だ。既存のビジネスの管理や効率化のためのIT投資の管理方法では、適切に管理し、意思決定できない。そこで2回に分けてデジタル変革投資のマネジメント方法について説明する。

 前回は従来のIT投資とデジタル変革への投資の違いについて解説した。今回はデジタル変革投資の管理方法について解説していく。

デジタル投資の位置づけを確認

 デジタル変革の結果として作成されるのは、製品やサービス、業務プロセス、数理モデルなどだ。これらは以下の4つの段階を経て実用化する。

(1)ディスカバリー

顧客ニーズと技術シーズのアイデアをぶつけ合い、議論をヒートアップさせて新たな可能性を探索する。

(2)インキュベーション

 可能性のある案件について変革チームを組織化。ビジネスの現場や顧客の声を反映できる場を設定し育成する。

(3)試行錯誤

 具体化した案件について、モデル化、PoC(概念実証)、プロトタイプ、パイロットテストという試行錯誤を経て試作品を完成させる。

(4)実用化

 試作品をビジネスの現場で使える実用品にする。受け入れるビジネス現場の準備を整え、段階的に導入する。

 この4段階をこれまで解説してきた価値創造サイクルに当てはめると、ディスカバリー、インキュベーション、試行錯誤が価値創発サイクルに、実用化が価値創発サイクルと価値増幅サイクルをつなげるブリッジプロセスに該当する。

 そして投資の側面から見た場合、ディスカバリーとインキュベーションへの投資が知識獲得投資に、試行錯誤の段階への投資が次に備えた投資や代替事業への投資に、そして実用化に向けた投資が次期中核事業への投資になっている。

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