中高一貫校の新設に当たり、様々な活動の中心となる大型の広場を整備し、さらに学校生活に見合うサイズの複数の中庭と諸機能をセットにして配置。広大な敷地における場所の性格付けと、交流機会の創出を図った。

 約6万5000m2の敷地の中核部にある、35m四方の広場と周囲の回廊を生徒たちが行き交う。そこから西側の海水浴場まで遊歩道が続き、地域の人々も散策する──。2019年4月に開校した広島叡智学園中学校・高等学校は、瀬戸内海に浮かぶ大崎上島に広島県が建設した、全寮制の中高一貫校だ。管理棟、食堂棟、教室棟、寮の一部などが第1期工事で完成し、現在は中学校の第1期生が学び、暮らしている。

 県が掲げる「学びの変革」アクション・プランのモデル校になっている。海外留学生の受け入れや「国際バカロレア・プログラム」に準拠した教育課程などを通じ、国際社会にふさわしいリーダーを育成するための特色のある教育を行う。

 設計を担当したシーラカンスアンドアソシエイツ(C+A)(名古屋市)の宇野享氏らが、様々な活動の起点になる場所として提案したのが、冒頭の「みかん広場」だ〔写真1〕。周りを囲む体育館や食堂、音楽室などの屋内空間と一体で、各種イベントに活用できる。遊歩道やグラウンドと合わせ、学生同士や島の人々との交流が生まれるように計画した。

〔写真1〕地域に開放する「みかん広場」
学びの回廊の北側からみかん広場を見る。広場に面する食堂棟や体育館棟は、広場と一体で各種イベントに活用できる。例えば、食堂棟の奥の音楽室を使い、カフェトリウムと広場を客席とすれば、音楽イベントが開催できる。現在は、第2期工事の途中(写真:生田 将人)
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 同校のある大崎上島町は、人口約7500人の離島の町だ。小さな自治体ながら全国から子どもが集まる「教育の島」を目指し、まちづくりに力を入れてきた。既存の学校の義務教育課程では、過疎や高齢化を題材とする地域連携授業「大崎上島学」を展開する。「島の人々と連携して課題解決型のプロジェクト学習を実施できる場となるよう、プロポーザル時から求められていた」と宇野氏は話す。

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