「The Learning Station CROSSLIGHT」には教室と廊下の区別がない。授業が行われている傍らを、他の学生や教員が突っ切っていく。教員と職員のオフィスをフリーアドレス制としているのも特徴だ。

 「『場所が学びを変える・働き方を変える』が、新校舎のコンセプトだ」と、梅光学院大学(山口県下関市)の樋口紀子学院長・学長は語る。「明るくオープンで、学生たちの感性を刺激し、学ぶ意欲を引き出す空間を目指した。個別の研究室を廃止し、教員と職員のオフィスをフリーアドレス制に改め、学生と自由に交流できるようにした」(同学長)

〔写真1〕吹き抜けを介して一体化
① 大階段H-Hope
複数の吹き抜けで3フロアを一体化。各スペースにはAからZまでのアルファベットを振り、これを頭文字とする聖書のキーワードを記した(平面図参照)(写真:諸石 信)
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〔写真2〕図書ディスプレーも接点に
② 1階カフェレストラン
写真はエントランス部分で、その奥に地域住民も利用できるレストランがある。敷地に門がないので、外部からも自由に出入りできる(写真:諸石 信)
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③ 1階教職員フリーアドレススペース
写真は1階の教職員オフィス。点在するオープンライブラリーの棚は各教員に割り当てられ、それぞれ研究の内容や個人の趣味を伝えるディスプレーを工夫している(写真:諸石 信)
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 同大が従来から実践してきたアクティブラーニング型授業の拡充とともに、教員と職員が共同で学生を育てる「教職協働」という同大のモットーを具現化した校舎だ。

 キャンパスの敷地は道路に面して東西に長く、その軸線に沿って既存の本館やホール、体育館などが並ぶ。「新校舎には、軸線に対して45度回転したグリッドを用いた」と、設計を担当した小堀哲夫建築設計事務所(東京都文京区)の小堀哲夫代表は説明する。

 斜めのグリッドを重ねた平面によって動線が長くなり、学生や教員が行き交う、いくつもの交流点が生まれる。その中に、適度に壁に囲まれた大小のセミオープンスペースを連続させていった。各所に吹き抜けが点在し、3フロアの内部空間全体がつながっている。

〔写真3〕大小の多様な学習空間が連なる
④ 2階ソーシャルスペースO-Offering
(写真:諸石 信)
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⑤ 2階スタジオL-Light
(写真:諸石 信)
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⑥ 3階吹き抜けに面した集中エリア
(写真:諸石 信)
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⑦ 3階ソーシャルスペースV-Vine
(写真:諸石 信)
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大小様々な空間が連続する。個人で集中できるパーソナルスペースからグループワークに適したソーシャルスペース、公開講義も可能なパブリックスペース、教室型のスタジオまで、対人距離(下図)に応じた異なる使い方を想定してプランニングしている
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 「起伏が多く大小の道が入り組んだ、下関の都市構造がイメージの源になっている。街を歩きながら次々に広場や路地に出会うような空間を考えた」と小堀代表は語る。

 1階は、ほぼ全体が教職員のフリーアドレス制オフィス。大小の空間にテーブルやカウンター、ジグザグ形のデスク、ブース席などを配したフロアで、自由に居場所を選べる。立って作業をしたり、ハイスツールやソファに座ったりといったバリエーションもある。その間が学生たちの通り道になるので、必然的に互いに顔を合わせ、挨拶を交わすことになる。

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